第36話 お前なんかとパーティ組みたくないし、俺はお前が大嫌いだい!

「だからお前は誰だ?」


「ああ、ごめんね。君とは初対面な感じがしなくて、なんていうかなすごく親しみを覚えてさ。改めて、ごめんね、自己紹介が遅れて。僕の名はリムル。王都バイムの孤児院に住んでいる。今は傭兵をしているんだ」


リムルは笑顔で俺に応えた。


名前:リムル

レベル:21

年齢:16

体力:312

精神力:1694

攻撃力:365

防御力:410

幸運:1000

素早さ:306

職業:傭兵

装備:銀の剣、銀の鎧

スキル:正義の一閃、閃光切り、二段切り


今のリムルはまだ成長途上で、俺の足元にも及ばない。

だが、この後、リムルの成長率は他のキャラクターを圧倒する。

ゲームでは初期ステータスが高いプレイヤーを選びがちだが、そう言ったキャラクターは意外と成長率が低い。

つまり、伸びしろがあまりないのだ。

序盤はスムーズに進むが、中盤からその成長率の鈍化が足を引っ張る展開になる。

そこで、パーティメンバーに成長率が高い者をいれて補強する。

リムルの場合、伸びしろが半端ない。

運良くレベルアップ時のステータスアップが上手く行けば、下手すりゃパーティを組まず一人旅でも魔王を倒せてしまう。


「カッコいい坊やねぇ」


エミリアがリムルを見てうっとりした顔をしている。

そう、リムルは主人公なので、どんな女にもモテるのだ。


「ほわぁ……」


アオイなんか、リムルを見て恍惚とした表情だ。

口元がだらりと下がり、よだれを垂らしそうだ。


「キザ野郎が」


唯一フィーナだけが、リムルに興味を示さない。


フィーナ、俺と気が合うな!


「そんな奴がなんで、俺のところに?」


爽やかなリムルとは反対に、俺は不貞腐れた感じで吐き捨てる様に言う。


「闘技場で優勝した君を見込んで、僕は君と一緒にパーティを組みたいんだ。どうかな?」


リムルを仲間にしますか?


ミナミの声が俺の脳内に響く。


「カイト、リムルは強そうだわ。仲間にすればいいんじゃないかしら?」


「くやしいけど、私もエミリアと同じ意見です」


エミリアとアオイがリムルの方を向いて言う。


「ありがとう」


リムルが二人にウインクする。


「うふふ。かわいいわね」


「うはぁああああん」


エミリアとアオイの目がハートマークだ。

おいおい、アオイ、俺はお前のなんなんだよ。


「リムルっていったな?」


「ああ。カイト君」


「残念だが、お前みたいな奴と俺は組みたくねーんだよ」


「なっ……」


意外な答えに眉間に皺を寄せるリムル。

俺にとっては意外でも何でもない。

闘技場で優勝したら、その日の夜の酒場にリムルが来るのはストーリー通り。

そして、リムルがパーティに入ろうとするのもストーリー通りだ。

リムルはもちろん加入できるだろうと、余裕満々だ。

なにしろ、ゲームの主人公なんだからな。

こいつをパーティに入れないプレイヤーはまずいない。

俺も、ゲームではその申し出に、まんまと乗ったさ。


だけど、この世界では……


「お前みたいな雑魚、足手まといなんだよ」

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