第2話 再挑戦

(もう少し。あと少しだけ、ってくれ。頼むよ……。)


 しかし、僕の願いはむなしくついえた。

 そんなもんだ、世の中なんて。


(なら、後はこの方法しか……!!)


 人差し指と親指に、集中力を傾ける。

 微妙な力加減と、繊細な操作力が問われる手法だが、これではさみ持って、何とかしのげたら……。


 プル……プルプルプル……。


 ペキッ!


(駄目だ。芯が・・短すぎたんだ)


 撃沈する僕の頭上に、太い声が降り注いだ。


「なんだ谷崎、突っ伏して。もう全部回答し終えたのか?」


 はうっ、先生っ!


「あの、シャーペンの芯が切れてしまって……」

(残った短い芯を指先で持って、字を書くのは無理でした。しくしくしく)


「そういう時は手をあげて言いなさい。というか、試験中の替え芯くらい、持ってなさい」


 先生から貰った芯を、芯タンクに入れ、僕は残りの答案を埋めた。

 叱られるかと思ってた。先生、優しいな。

 けど、本当に、あと1問のことだったんだけどなぁ。



       ― おわり ―

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