第20話 巫女達に手こずった【2】

 ヒノミがきれいな素振りをしたので、巫女達の実力買い被っていたようだ。


「えぇいぃ、キャ!」

 他の巫女に素振りさせると、剣は手からスッポ抜け前方に飛んで行った。


 剣を持たせるのは危険だ!付き添いの騎士達に木の枝を削らせて、即席の木剣を作ってもらい剣の持ち方から指導を始めた。

 2才から厳しく親父の指導を受けた俺に取って、素人の指導は容易たやすいが、なんとも歯がゆい、今日一日は素振りで終わりそうだ。



 全員が、そこそこ安心できる素振りができだした。

 そうなると、木剣素振り眺めてるの退屈で、最初からさまになってたヒノミを聖鑑定してみた。


 エンター騎士爵家二女 ヒノミ・エンター18歳

 魔力A 聖魔法A 火魔法A 水魔法B 風魔法A 空間魔法S

【付与魔法の才能あり】


 なんじゃこりゃ!!!無茶苦茶な才女じゃねぇか!!

(巫女なんてさせてるのは勿体無い!俺の家臣にしたいぞ)


 思い立ったが吉日だ!!ヒノミにアタック!

「エンター騎士爵家二女ヒノミ、君はもしかして政略結婚逃れに、ゼス聖教に逃げ込んだのか?」

「えっ?法皇様?何でご存じなのですか?」

「聖魔法が使え出せば、聖鑑定で詳しく読み取れる!ヒノミはこれから私と森に入って、聖魔法の解放を行う聖剣を持って付いて来なさい」

「は?はいっ!」


「他の者は、今日一日素振りを続けなさい!」



 森に入った。


「ヒノミ魔物討伐の経験は有るか?」

「はい『騎士爵家に生まれたからは、剣術を叩き込む』って父が姉と私に指導して下さいました」

「何歳から始めた?」

「えっ?7歳からです」


「7歳か、やっぱそれが普通なんだな・・・」

「法皇様は今7歳、これから剣術始められますか?」

「いや、俺は2歳から、親父のロデス男爵に剣術叩き込まれた」


「2歳?発育前に無理をさせるなって、7歳が修行始めって決まって居ますよ?」

「俺の親父異常なんだ、剣一筋で騎士になって貴族の作法も知らず男爵子爵と昇爵した親父だけど、剣の指導厳しいが適格なんだ!尊敬する親父だ!」



 打って着け、ゴブリンが居た。

「ヒノミ剣を抜き、あいつを倒せ!」


 ヒノミは抜剣すると、一振りでゴブリンを両断した。

「あっ!頭の中で『聖魔法が解放されました』って言ってます!」

「おめでとう!ヒノミは今から聖魔法使いだ!」


「こんな、簡単な事だったの?前の法皇、聖魔法授与に金貨50枚必要なんて言ってた」

「金貨50枚で聖魔法授かった者は居るのか?」

「一人も居ません【まだ早かった次回に期待せよ】なんて言って、前の法皇って方法知らなかった?」


「だろうね、俺も苦労して自力で聖魔法手に入れた」

「法皇様は凄いです!聖剣で魔物を倒すって発想、普通では気付かない事」


「ヒノミは聖魔法Aで凄いが、空間魔法の適性が巫女やってるのは勿体無いぞ!」

「空間魔法?ですか?そんなの有ります?」

「有るぞ!どれもSランクだ」

「S?そんな低いランクでは、有っても無意味です」

「やっぱ誰も知らんのか!俺の聖魔法はSランクだぞ!Sはスペシャルの意味でAランクの上だぞ!!」


「スペシャルのS?」

「ヒノミが聖魔法で有名になれば、実家に強制的に呼び戻されるだろ?俺のロデス伯爵家の家臣になれ!!」


「はい!!是非家臣にして下さい!!!」

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