第3話:阿加流姫。(あかるひめ)

「この赤い勾玉の名は瑪瑙の勾玉(るりのまがたま)と言う」

「太陽神、天照大神の末裔、阿加流姫「あかるひめ」を召喚するための神器じゃ」


「たいようしん?・・・あかる・・・ひめ・・・」

「って、なんだ?」


「阿加流姫は傀魔を殲滅するために我が、比古神家に代々仕える神霊

または巫女だ」

「お前が阿加流姫を召喚すれば、お前と共に傀魔と戦ってくれる」

「神霊とはそういう存在だ」

「じゃから、まずは、お前が阿加流姫を呼び出すことができなければ意味がない」


「その前に傀魔と戦うために必要な神器を教えておこう」


「まずはおまえが持つ新月丸・・・それに阿加流姫が持つ薙刀・三日月丸」

「そして異次元を自由に移動できる鏡・異徊転魔鏡」

「これから、おまえが身につける瑠璃の勾玉・・・以上じゃ」


「さ、勾玉を首にかけろ・・・これは絶対なくするなよ」

「四六時中かならず身につけておくこと」

「人に貸したり、噴出したり奪われてはならん・・・」


「分かった」


そう言って神羅は勾玉を首にかけた。


「これから俺はどうすればいいんだ?」


「簡単じゃ・・・勾玉を握って、集中する」

「そして呪文を唱える・・・心の中でもいいし、声に出してもよい」

「呪文はこうじゃ・・・」


「出でよ神霊阿加流姫、我と共にありて、我と共に戦え・・・」


「ひいじいちゃんは、どうしてたの?」


「わしか?・・・わしは、かっこよく、声に出しておったかのう・・・」

「地味なのより派手なほうがよかろう?」


「分かった・・・じゃ〜、やってみる・・・」


神羅は勾玉を握って気持ちを集中して呪文を唱えた。


「出でよ神霊阿加流姫、我と共にありて、我と共に戦え・・・」


だが、蔵の中は静まりかえったままだった。


「はじめてじゃからの・・・最初からは応えんか・・・・」

「寝てるかもしれんしな・・・」


「そんないいかげんな神霊なのか?」


「けっこう自由奔放、天真爛漫なヤツじゃからのう」

「雑念を払って気持ちをもっと集中させて呪文をとなえてみろ」


神羅は勾玉を握って、もう一度気持ちを集中して呪文を唱えた。


「出でよ神霊阿加流姫、我と共にありて、我と共に戦え・・・」


それでも蔵の中は静かなままだった。


「おまえは先祖代々の中でも召喚士としての能力は高いと思っていたが・・・」

「しばらくは阿加流姫を呼び出す修行からじゃの」

「阿加流姫が出てこんでは、らちがあかん」


「しばらくここで阿加流姫を呼び出す練習じゃな」


そう言って、夢幻斎は立ち上がろうとした。

すると勾玉が光を放ったと思うと神羅と嘉幻斎の間に着物に袴姿の女の子が

立膝を組んだまま忽然と現れた。


「お、阿加流姫・・・・現れたか・・・」


神羅はポカンとしていた。

自分が想像していた神​霊と違って、か弱そうな女だったからだ。


「え?女?」

「あ、そうか姫だから・・・」


「神羅・・・阿加流姫じゃ」


そこに現れた少女は長い髪を後ろで一本に束ねていて色白で たぐいまれなる

美少女だった。

少女といっても見たところ神羅と歳はさほど変わらないようだった。


神羅の少女に対する第一印象は綺麗だ、と思ったこととその身にまとったオーラ

だった。

少女は人間の女とは違う気品に満ち溢れたオーラを放っていた。


「久しぶりだなアカル・・・」


「嘉幻斎様・・・お久しぶりです・・・」


ここで改めてこの物語のヒロイン阿加流姫「あかるひめ」を紹介しておこう。

阿加流姫は太陽神、天照大神の末裔。

神羅とともに傀魔と戦う神霊、または巫女として神に仕える存在。

退魔士とも言う。

武器は 薙刀で名を「降妖宝三日月丸・巴みかずきまる・どもえ」と言う。

巴は普段は神界にあって、阿加流姫によって瞬時に呼び出される。

降妖宝・巴を持ってして阿加流姫は傀魔と戦う。


つづく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る