ゲームの悪役貴族に転生したので、悪役らしく女を囲い欲望のままに生きながらもゲームのシナリオは無視するはずが、ヒロインからも、敵の女キャラからも目をつけられているのですが
リヒト
第一章
プロローグ
働きたくない。
生涯、家でゴロゴロしながら贅沢三昧出来るだけの富に囲まれ、好きなように女を抱き、自分の思うがままに色々なことを楽しみたい。
そんな生活を、僕は自分が小学生の頃から夢見ていた。
でも、僕が生まれた家はごく普通の一般家庭であり、健やかに成長していく分なら最高の環境と言えども、自分が生涯を遊んで暮らせるほどの財はなかった。
「あ、明楽くん……こんばんは。今日も、来ちゃった」
だから、僕は出来るだけ自分が楽する形で大人になるまでの間に金を稼ぎ切ろうと画策していた。
「やぁ、瑞稀」
そんなことを願った小学生から高校生となった僕の元にやってきた一人の少女、自分の幼馴染である瑞稀に名前を呼ばれた僕は彼女の方へと視線を向ける。
「言われた通り、アイドルとして得た知名度を使ってVtuberを始めて、しっかり稼いできたよ!」
僕の部屋にやってきた瑞稀が語るのは自分の成功体験。
幼き時は子役として、成長すればアイドルとなって今ではVtuberにもなって。
「そうか、そうか……それなら、良かった。ふふっ。僕の思惑の大成功だね!」
若くから人の前に立って金を稼いでいる自分の幼馴染を前にして僕は自信満々に胸を張る。
放任主義でいつも彼女を独りぼっちにさせていた親の代わりに瑞稀へと手を差し伸べ、子役やら何やらをやらせてきたのは僕である
「それで?いつものは?」
「あっ、うん。はい、これ……いつも、ありがとうね?」
「ふふっ、ありがとぉ!僕はお金大好きだからね!」
そのすべては彼女から渡されるお金だ。
適当に言葉を話しているだけで恩を売り、毎月彼女の稼ぐ金の半分を僕は徴収しているのだ。
瑞稀も金のことは知らんし、彼女の両親も一切の興味を払っていないので好き放題出来る。
「ふふっ……」
今、瑞稀が稼いでいるお金は相当のもの。
色々な税金で差し引かれることを考えても、かなりの大金が転がり込んできている。今月も数百万は確実だ。
「それじゃあ、来月も頑張ろうね?」
「う、うん!」
そして、この関係は少なくともまだ持つだろう。
幼き時から瑞稀は僕に依存するよう教育しているし、今の彼女は異性として僕を好いているような状態だ。
「そ、それじゃあ……私はマネージャーさんに呼ばれているからもう行くね!」
「頑張ってね、これからも」
「ま、任せて!ちゃんと明楽の期待には答えて見せるよ!それじゃあ、また後で!」
僕の言葉に満面の笑みで頷いた瑞稀はそのまま部屋を後にしていく。
彼女は仕事で忙しいので、あまり長居は出来ないのだ。
「ふんふんふーん」
瑞稀が僕の部屋から去った後、封筒に入っていたお金を数えながら鼻歌を歌う。
そろそろ現金資産で一億。不動産や株なども合わせての総資産である三億
「もう、こいつはいらないかなぁー」
瑞稀の他にも金づるは存在する。
上級生から虐められていたところを助けてあげた秀才のクラスメートに作らせたテスト対策ノートの販売による金銭。
不倫していた学年主任から毎月強請っている金銭。
小学生の時に僕をレイプしたショタコン女教師に毎月払わせている金銭。
瑞稀以外にも色々なところから金銭を搾り取っている……それでも、ここまで来たらここら辺はいらないかなぁー。
「まっ、とりま飯食いに行こ」
既に時刻は夕方。
夕飯の時間である。
僕は瑞稀からもらった金を仕舞い、財布とスマホを取って立ち上がるのだった。
■■■■■
人の喧騒に包まれ、多くの人が行き交う東京の街。
そこを財布とスマホだけ持った僕は一人でゆっくりと歩く。
「何食べようかなぁ……」
僕の腹としては何を求めているだろうか……やはり、寿司か?
「おん?」
何を食べるか考えながら道を歩いていたところ、僕のスマホへと電話がかかってくる。
「……なんや」
僕は少し離れたところに行ってから電話を取る。
相手はうちのクラスメートを虐めていた、上級生たちの一人。進学して晴れて大学生になっている人間だ。
「はい、もしもし」
『おー、聞こえるか!明楽!女を取ってきたからお前にもお裾分けだ。抱くか?』
電話を出て、相手が開口一番に告げるのは女のことだった。
「……えぇ、そう言ってお前らクソ汚ねぇパパ活女連れて来たじゃねぇか。HIV梅毒クラミジア性病役満は勘弁なんだが」
『大丈夫だ!今日に限っては平気だ。大学で処女の女を数人引っかけた。今、個室の店で酒を飲ませているところ』
「……犯罪は?」
『どれだけ疑り深いんだよ!大丈夫だって!薬ももっていないし、相手もそこまで酔わせていないから!でも、女の方も異性の方にも興味がある感じだし、押せば行けるぜ?あっ、見た目も垢ぬけていないだけで可愛いぞ』
「良いじゃん、ナイスだよ。そういうのを求めていたんだよ……本当に犯罪じゃないよね?」
『おうよ!ちょっと酔わせたところにお前が付け入って適当に落としてそのままベッドインで最高の経験させれば不満も出ないだろうよ。イケメンで経験豊富なお前なら問題ないだろ?』
「よし、僕も行くわ……ぁ?」
今日の夕食が決まったな、そんなころに。
「「「キャァァァァァアアアアアアアアアアア!!!」」」
街の人が悲鳴を上げ、一気に人の往来が活発化する。
『どうしたん?』
その理由は一目瞭然。
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!お前ら全員死んでしまえぇぇぇ!!!!!」
それは、包丁を手に持った叫びながら街を歩く一人のおっさんである。
悲鳴と混乱。
その果て、おっさんから逃げ惑うように人が散る中、僕の少し前に立っている女性は突然のことに動揺し、頭が真っ白になってしまったのか、震えながらそこに立ち尽くしていた。
「あぁぁぁぁぁ!」
そして、おっさんはそんな女性の方に包丁の切っ先を向けて加速する。
「危ないよ」
僕はそんなおっさんと標的にされた女性の間へと割って入り、すぐさまナイフを握っているおっさんの手に向かって膝蹴りを放つ。
「あがっ!?」
想定外の衝撃。
それを受けて緩んだおっさんの手からナイフを引き抜く。
「あっ……まっ!」
「唾飛ばすな、来たねぇ」
そして、そのままおっさんの腹に蹴りを叩き込んでそのまま吹き飛ばす。
「あっが!」
おっさんはあっさりと返り討ちにされて無様に地面を転がる。
それを受けて
「……ちっ」
歓声上げている暇があったら、取り抑えてくれよ……そんなことを考えながらも自分で取り押さえるべく足を一歩踏み出した。
そんな時だった。
「死ねぇぇぇぇええええええええ!」
地面に転がったおっさんが自分が背負っているカバンから一つの大きなものを取り出したのは。
その見た目は不格好で、ひどく大きいが、その形状はまさしく銃そのもので……!
「キャァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
銃声が響き、僕の中に衝撃が走る。
「……ぁ」
誰だよぉ!銃の作り方を再三と放送していた阿保はぁッ!
とある事件の犯人の自作で作った銃について放送し続けていたどこかの阿保どもに向けて怨嗟を突発的に頂きながら、自分の体に打ち込まれてしまった弾丸を受け、僕は体を地面に倒すのだった。
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