第53話 翔と鈴の会話②

翔が学校へ着くと、廊下で優と春が話をしていた。

「おっはよ!!」

翔が2人に言った。2人は驚いた表情で、翔を見た。

「あ、翔おはよう」

春が答えた。

「お、おう翔。おはよう」

優も答えた。2人の動揺している様子を見て、翔は不思議に思い問いかけた。

「2人、何かあったの?」

優と春は顔を見合わせて、え?なに?という顔をしている。そして優が翔に答えた。

「翔‥‥お前大丈夫か?」

「大丈夫って‥‥何が?」

春も心配になり、翔に言った。

「翔‥‥昨日のこと忘れてるの?ショック過ぎておかしくなっちゃったの?」

翔ははっとした。もちろん鈴のことを忘れているわけではない。むしろ四六時中考えている。鈴は死んでしまった。しかし、喜んでいいかはわからないが、未練仏になった鈴に会えたことは翔にはとても嬉しいことだった。そのことを2人は知らない。翔は鈴が死んだのに浮かれている、おかしな奴に見られていた。

「翔?本当に大丈夫か?」

優も心配そうに言った。

「あー、うん、大丈夫って言えば大丈夫だし、大丈夫じゃないと言えば大丈夫じゃない」

優と春はますますよくわからなくなっていた。

「実は昨日2人と別れたあと‥‥‥」

翔は無意識のうちに公園に着いたこと。そこで未練仏になった鈴と出会ったこと。そして今朝までのことを2人に話した。もちろん2人は驚いていたが、鈴に会いたいと思った。

「私、鈴に会いたい」

春が言った。

「俺も鈴ちゃんに会いたいな」

優も続いて言った。

「うん。じゃあ放課後みんなで会いに行こう」

こうして、放課後3人で鈴のところへと会いに行くことになった。『優と春が一緒に行ってくれたら、鈴ちゃんも喜んでくれるな』翔は嬉しくなり、尚一層放課後が待ち遠しくなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る