第22話 遺跡、謎かけ

「先生、この人たちどうするんですか?」


 ネコが僕にそんな質問をしてきた。

 僕が麻痺させた状態で縛り上げ、目隠し猿轡で転がしておいた冒険者たちを示して。


 まあ、気にはなるよね。


「明日の昼には再封印のために人が来るから、そのときに見つかるでしょ。この遺跡の入口に転がしておけば」


 牙のローブに着替えながら返答する。

 まあ、無様に失敗した冒険者って失点はつくけど、世の中は厳しいんだよね。

 次からは仲間がトイレに行ったら襲われて、敵と入れ替わってしまってる危険性は予想するんだよ?


 それが活かせればこれからも頑張れるよきっと。

 知らんけど。


 しかし……


 僕が使用した魔力魔法は……


 第1位階が1回。

 第2位階が1回。

 第4位階が1回。

 第5位階が2回。

 第8位階が2回。


 僕は魔力魔法が


 第1位階が9回。

 第2位階が9回。

 第3位階が8回。

 第4位階が6回。

 第5位階が5回。

 第6位階が5回。

 第7位階が5回。

 第8位階が5回。


 使えるから、まぁ……大丈夫かな。

 虎の子の第8位階がまだ3回残ってるし。


 遺跡攻略で、どの程度使用することになるかだなぁ。

 戦闘が多いとゴソッと減るから、簡単な魔法はネコに任せた方が良いよね。


 ……もう1回変身使おうかなぁ……?

 このマルシーって子がブサイクってわけじゃないんだけど、僕が拘り抜いたあの外見に戻っておかないと、忘れてしまうと困るし。


 しかしそうすると、第4位階が残り4回か……

 第4位階には、攻撃魔法として高威力の火球爆裂があるんだよねぇ……。


 透明化、使わなくて良かったなぁ。

 そうすると残り3回になってしまうもの。


 うん、よし……!


「デンジ スタイ オント ルゼオース」


 そういうわけで、僕は変身の魔法を使った。


 手鏡で確認をする。

 よし。


 いつも通りの超絶美少女。


 そう、鏡の中の自分の姿に惚れ惚れしていると。


「……変化、姿、欲望、全部……?」


 ネコに僕の魔法語を聞かれてしまったようで。

 ギクッ、とした。


 まだ、彼女はこの魔法を使うことは出来ないけど、魔法語の内容から大体意味は分かるわな。


「ルゼオースは全部という意味の他に完全って意味もあるから、ええと……」


 頭の中で魔法語の意味を組み立てて


「姿を望むままに変えろ……こんなような意味かな? 先生、それは変身の魔法ですか?」


 ……勘の良い弟子は困りものだな。

 嫌いじゃ無いよ。賢い子は大好きさ。


「……そーだよ」


 嘘を吐いても仕方ないので。

 僕はそこは正直に認めた。




「なるほど……老化を避けるために、高レベルの魔力魔法使いは変身を使うのがデフォなんですね」


 ホントは少年を食べるために変身しているんだけど、そんなことは言えないし。

 それ以外の魔術師あるあるを理由としてあげて、その場はやり過ごす。


 ……そんな雑談をしつつ、僕ら一行は遺跡の中に侵入した。


 遺跡の中はひんやりとしてて。

 とても暗かった。


 まぁ、普通はそうよね。


 僕は持って来たカンテラに火をつける。


 明かりによって、黴臭い遺跡の内部が照らし出された。


 んん~。

 久しぶり。


 この暗さ。

 石畳。

 黴臭さ。


 好きだったんだよなぁ……


「じゃ、行くよ」


 声を掛けるのは僕だったけど。

 先行するのはモロス君とベネットさん。

 ……2人とも暗視能力あるし、罠に対して強いからね。




 気にしていた道中の罠は特になく。

 まあ、未盗掘の遺跡ならいざ知らず、ここは家宝の保管庫に流用している遺跡だしな。

 可能性は元々低いか。


 そしてしばらく歩くと。

 部屋に出た。


 広さは25平米くらいで。


 中央に台座。


 奥に扉。


 早速、モロス君が扉の方をチェックしに行く。

 僕は台座を調べる。


 そこには古文でこう書かれていた。


~~~~~~


 足りぬものを埋めた者に道が開かれる。埋められぬ者には死を与える。


 市民、貴族。


 876、519。


 変革、暗黒、聖賢、禁愛。


~~~~~~


 ……台座には、そういう文字が刻まれていた。


 足りぬもの~のくだりと、市民と貴族の文字は台座に刻まれていて。

 数字の方は、2つ連続で上下に重ねるように刻まれていて、上の数字の上には四角い窪みがあった。


 そして「変革」「暗黒」「聖賢」「禁愛」

 

 この4つのワードは取り外し可能なパネルになってて、それがどうも数字の上に存在する窪みにピタリと嵌りそうな感じだった。

 

 ……部屋を見回す。


 すると、天井付近に不自然な穴が開いてて。


 ……多分だけど、この文字パネルで間違ったのを嵌めると、あそこから毒ガスが流れてくる仕掛けと見た。

 間違いは許さないわけね……


 さて……


「ネコ、この謎かけリドルはどう思う?」


 僕は僕の隣で台座を観察していた弟子に、彼女の意見を求めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る