第5話 死のラブレターその3

福沢の場合、ソレを教えられて、すぐ激昂し、本人たちのいる前で、その本を取り上げ、破り捨てた。


しかし、それがきっかけで、一時福澤は、女子生徒達の反感を買ってしまい。 完全に女の敵扱いだった。


 最もオレは本当の原因はそうじゃないと思っているが。


 


「あの…この前はごめんね…福澤くん。六道くんも。」


「いや…オレは大して気にしてな…」


彼女の謝罪を受け入れオレが返事をしかけたその時、背中のぴったりすぐ後ろから、ピリついた雰囲気を感じた。

 

 

それに気が付きすぐに後ろを振り向くと、ぷっくり頬を膨らませて、黙り込んでいる、


出してきたのは新しい自作漫画。

予想するにまた、前の漫画の続編といったところだ。



気持ち悪く、理解できない恐怖。 


最初にこいつ見た時は大層な衝撃を受けた。

 悪乗りでそういったものを書いていることは噂になった。 ソレは俺のことと、福澤の事をチラチラと観ている時間が多かったからだ。

 それで、こっそり確認したがまさか本当だったとは思わなかった。


正直な話ホントにこの女とは関わりあいにはならないようにした。


 福澤とも、暫くは話しにくかった。話していることを見られると、またデキてると思われるのが嫌だからな。




この女はなくどころか隠さなくなった。


この女が時々こちらを見ていることがあったが、その理由にも合点がいった。


「コレはコピー品でござる!! ちゃんと対策は取ってるんだなぁ! デュフフフ!」


えぇ 相変わらず笑い方キモ

「えぇ…相変わらず笑い方キモい…。」


おお、、スゲェ…。オレが心の中で呟いた事を、そっくりそのまま、福澤の漏れた言葉として吐き出された。


まぁ、オレも赦しはしないけど気持ちはわかるよ…。


 なんてったって、コイツラが気になっている、男どもはみんな、福澤のことをアイドルとして扱って、ラブレターだのラブコールだ

のをしてる。


それもノリかガチかわからない感じでだ。 そんなもん面白くないだろう? 女子生徒の大半は。


 福澤は、男からは、女子生徒の誰もを差し置いて、まるで女神か何かのように、愛すべき存在として扱われていたが、一方で


福澤の存在はまさに心に余裕がない女の敵なんだ。


 そういう意味では眼の前にいるこういう

キショい変態女も、福沢にとっては珍しく希少な存在なのだろう。 


 だからオレはおもろいし仲良くしてほしい。オレは勘弁だけどなこんなモラルなし。


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