第22話 マジックトイズバトラー
わくわく広場に近づいていくと子供達の声がワーワーと聞こえてきた、トイズバトラーってのは結構賑わっているようだ。
チラッと見ると俺が買ったようなトイズバトラー同士が剣や刀、槍などいろいろな武器で戦っているようだ。
観戦してる子供多く小学生や中学、高校といろいろな年代の子供達がここで集まって遊んでいるようだ、そこで観戦してる小学生の子供に声をかけてみた。
「なぁ、ちょっといいか?」
「なに?……ひぇっ……か、か、かつあげですか?」
「はぁ?あー、違う違う、トイズバトラーってのを買ってみたから遊びたくてなルールとか教えて欲しかっただけだ」
「はぁ……良かったぁ……そ、それじゃあ説明するね」
見知らぬ子供は最初は怖がっていたが説明してくれるうちに普通の態度になっていってくれた、好きな物を説明するのは楽しいものだもんな。
そんな子供から聞いてみると、まずグローブを装備して握手をするとフリーファイトで戦歴とか残らないバトルができるらしい、拳と拳を当てて始めるバトルは決闘とかガチバトルとか呼ばれているようだ。
「うん最初はグローブをインターネットで登録しないといけないんだけど、お兄さんはインターネット環境とかあるの?」
「インターネット?ああ、これで出来るか?」
俺は冒険者手帳を子供に見せると、それでも出来るらしく良く分からないからちょっと設定してくれと頼んでみると少し不思議そうにしながらやってもらえた。
「お兄さん機械とか苦手なんだ」
「あーインターネットってのに触れないで生活してきたからなぁ」
「ふーん、大変な環境なんだ……登録する名前はどーする?」
「名前?あー総司でいいや」
「そ、う、じっと……はい!これでバトルできるよ!戦歴とか見たかったらこのサイトから見れるよーにしといたからね!」
そう言って見知らぬ子供は俺の冒険者手帳にマジックトイズバトラーのショートカットを作ってくれていた。
「おお!ありがとな!」
「……お兄さん恰好は不良なのに何か普通だね」
「不良か~?」
「うん、服とか木刀とか!昔の不良って感じ!」
「不良ってのは俺みたいに金持って無かったんだなぁ」
「良く分かんないけど折角登録したんだしバトルしてみようよ!」
「お?おお!そうだな!」
子供はこっちこっちと言いながら特に何も障害物が無い場所へと移動してそこでバトルを開始するようだ、初心者だから何も障害物が無いエリアでやってバトルに慣れるためらしい、なんとも優しい少年だ。
少年と俺はグローブを装備して握手を交わすとグローブからフリーバトル!と言う音声が鳴り俺のトイズバトラーが起動した。
「お兄さんはバランスタイプなんだ!ってか防具がチグハグだね!」
「全然パッケージ買ってないからな」
少年がそれじゃあ軽く説明するねと話し始めてくれた、お互いのトイズバトラーにはHP、ヒットポイントが設定されていて、スピードタイプはHP3、バランスタイプはHP4、パワータイプのHP5に設定されているらしい。
次に攻撃力の話が始まり、スピードタイプは軽量武器しか装備できなくて攻撃力は0,5ポイントしかダメージは与えられない。
バランスはどの武器も装備できるけど重量武器とか持つとスピードにデバフがかかっちゃうからおススメはできないらしい、それでダメージは1ポイント削れる。
パワータイプは移動速度も遅いけどダメージは1,5ポイント削れるのと重量武器しか装備できない。
「へぇ、それぞれ良し悪しがあるんだな」
「うーん、まぁそうだね、でも最近の主流はスピードかパワーが人気だね!スピードで翻弄するかパワーでゴリ押しが人気の戦闘スタイルだね、バランスはちょっとどっちつかずだからね」
「ふーん」
俺は起動したトイズバトラーを軽く動かし感覚通り動かせるか確認しつつ武器を振ってみる。
独特な感覚で動かすのに少し慣れが必要そうだなと感じた。
「それじゃあバトル始めるよ!行け僕のストライダー」
「よっしゃ!来い!」
まず動いたのが少年のトイズバトラー、ストライダーと呼ばれた少年のトイズバトラーは全身機械で出来ているようなパーツで構成されていて武器は両手にダガーを装備していた。
スピードタイプなのか中々の速さで俺のトイズバトラーに接近してきた、俺のトイズバトラーはもたもたと動きだし相手の攻撃を受けてしまうとヒットとグローブから音声が流れ、グローブの手の甲の部分の表示されている数字が3,5になった。
「おおっとぉ」
こんな事もできるんだよと少年が魔力を練り始めるとリンクしたかのようにストライダーと呼ばれるトイズバトラーも魔力を練り始めた。
「ストライダー!」
ストライダーが魔力を開放するとダガーが水の魔力を纏い数ミリくらいだが武器の長さが変わり、そのまま連続攻撃を繰り出し俺のトイズバトラーに3連続攻撃が成功してしまった。
ヒットという音声が3回鳴り一回のダメージが0,75になっており、2,25ダメージを食らってしまった。
「な!なに?!魔力を使うとダメージが増えるのかよ!!」
「トイズバトラーが奥が深いのはこんなもんじゃないけどね!トイズバトラーを操作しながら魔力を練ってリンクさせる、そうすると戦略の幅グンっと増えるからね!」
なるうほどなぁ、魔力操作が独特だけど……こんな感じで操作すれば……こうやればこんな感じに出来るなと感覚のずれを無くしていくと少年が俺のトイズバトラーにトドメを刺した。
「あ!」
「油断大敵ってね!」
こうして俺の初のトイズバトラーバトルは敗戦で終わった。
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