ヒヤリハットトリック

作家：岩永桂

ヒヤリハット・ホスピタリティ

この病院は、

特にヒヤリハットの報告が

後を絶たない。

踊り場の手すりが雑巾がけしてあって、思わず掴み損ねた。

玄関マットの下に砂埃が溜まって、すっ転びそうになった。

エレベーター付近でスマートフォンとにらめっこしてたら、出会い頭の車椅子さんとぶつかり掛けた。

尿意の限界で男子便所に駆け込んだら、検尿中の集団と鉢会った。

血圧機で血圧測定中、MAX締め付けで機械がストップした。

車椅子で来院中、自動ドアの溝にタイヤが挟まって身動きが取れなくなった。

血液検査の中性脂肪値だけが異様に高かった。

インフルエンザのステイ３０分で寝落ちして、閉館時間までソファに居た。

（予防接種３０分後はアナフィラキシー反応を診るために、院内に残るように指示がある病院も）。

これは、一人の体験談じゃない。皆の総意が集まって出来た大きなヒヤリハットだ。

大なり小なり起こりそうなケースヒストリーばかり。

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