思い出

うり

思い出

開け放した宝箱を見つけ、ほこりを払いのけた。

思い出したくないことを、詰め込んだはずだったのに。

何一つ思い出せないのが自分というもの。

うそ

思い出したくないから、覚えている。

初めて拾った石ころ、君から貰ったハンカチ、君に書いた手紙、

見るんじゃなかった。

君が嫌いだから、見えなかったことにしている。

どうでもいいとは言わないけれど、

意味もなく記憶に蓋をする。かたく、かたく、

誰にも開けられない瓶詰めを作り、それで十分だと言って帰る。

君はその程度のひとで、それ以上にはなれない。

だから美しいし、だから顔も見たくないのだろうと思う。

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思い出 うり @dadada-chabashira

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