第3話何度も考えた答え
結局、その後の授業はすべて妄想に費やした。外はもうあっという間にお昼時になっていて、ベンチに座ったり、カフェに入ったりしてご飯を食べていた。
俺は目立たないようにこっそり歩きながら、いつもの食堂にこっそり入った。券売機でいつものからあげと白米のボタンを押した───
食券を渡すと、食堂のおばちゃんがこう言った
「今日もからあげ?たまには他のメニューとか外のご飯とかでもいいんじゃない?」
「いや、別にいいんです。これで。」
俺はダルそうに返事した。
「そう。」
あの陽キャどもと話している時はあんなに話上手だったおばちゃんも俺との話はなにも弾まなかった、まあ弾ませる気も無かったわけだが。
「はい、どうぞー」
「あ、はい。ありがとうございます。」
また思ってもないことを言った。
はあ...!にしても妄想楽しい...つーかあのばあちゃんも俺の妄想邪魔すんなよなぁ...!!無駄に会話しやがってよぉ!時間が無駄だっての。
その日は食堂で食べてる人が少なかったが、俺はいつもの癖で広い食堂の隅っこの影がかかる場所に座った。
「そういえば、連絡先いつ貰おうかなぁ?まあ、俺から聞く必要はないか。」
俺には謎の自信があった────推理ができるほど頭はよくない。だが、そもそも推理をする必要すらなかった。なぜなのか、それはやはりルーズリーフが鍵になっている───
思えば、確かにあの教室は人数が少なかった。だが俺の他にも数人はいた。それも男子だけではなく女子も数人いた。なのに、なぜわざわざ俺にルーズリーフを貰うのか?
簡単だ。俺の事がきっと好きなんだろう!好きになっちまったんだろう!これは能天気なわけじゃない!ふざけてるわけじゃない!この妄想を俺は本気で信じている!
それに、さっきの授業でこの推理に関しては何度も考えた。だから、この推理は間違っているはずがなかった────
大丈夫だ、必ずあっちから聞きにくるはずだ。
大丈夫、大丈夫。
「やっぱり、こっちから聞こ...」
急に不安になって小声で言ってしまった
トントントン、ずっと下を向いていたから気付かなかったが、なにやら誰かがこっちに向かってきているような気がした。最初のうちは気にしなかった足音がだんだんでかくなってきたところで、俺は、柚乃かと思ってドキドキしながら心と一緒に顔を上げた─────
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