襲われていた同級生を助けたら懐かれてしまった。知らんけど俺も懐いてしまった…

ごま塩アザラシ

プロローグ

俺、神森玲かみもりれいは勘違いされやすい人間であると同時に矛盾を抱えた人間である。


寂しがりで甘えたがり、人との触れ合いを何より求めているくせに、度を越えたコミュ障であり、それ故に新たな人間関係の開拓を諦めている。


おかげさまで保育園時代から今の高校1年までずっと同じ学校に通っている幼馴染2人とごく一部の例外を除いてまともに話せる人は学校にはいなかった。


自分でも色々陰で言われているのに加え、幼馴染2人からの評価などから、顔は悪くない、それどころか結構整っているという自覚はある。


そのため女子の方から話しかけてくれたこともそこそこあった。


しかし、名前を呼ばれ話しかけられた時には


「何?」


「あ、はい」


「いいえ」


友達がいない学校に転校してきたおとなしめの子でもびっくりするような余りにも終わっている返事しか出来ず、話を膨らませることも出来ず、話しかけてくれた子は気まずそうに去っていくというのが毎回のパターンである。


別に異性だから恥ずかしくてこうなってしまう……というわけでは無く、同性であっても大体こんな感じである。


こういう風になってしまったのにはとある理由もあるのだが、それはまた別の機会にでも話そうと思う。


とまぁこんな素っ気ない対応しか出来ず、人付き合いに諦めを抱いてしまったことでたった2人の幼馴染でもある友人曰く、常に人に近寄るなオーラなる物を出しているらしく、もう俺に話しかける人は今いる高校にはいなくなった。


用事がある人は友人を通して話しかけてくるという徹底具合である。


とはいえこれに関しては完全に俺の自業自得であることに間違いなどない。


いくら現状を嘆こうと、そう簡単に人は変わることは出来ない。


昨日までの俺は本当にそう思っていたんだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る