☆第七夜「女の子と女の子」
りんは、サキちゃんのおうちに、おとまりして、サキちゃんといっしょのおふとんで、ねていたはずなのに。おててつないで、ねていたはずなのに。
ここ、しってる。ようちえんのうらのおやま。えんそくでのぼったことある。
なんでここに、りんひとりで、パジャマのままでいるの? サキちゃんはどこいったの?
やまみちのいりぐちに、やじるしがふたつあって、なにか、かいてある。
「サキちゃんのおよめさん」
「ユースケくんのおよめさん」
りんは、サキちゃんがすき。サキちゃんも、りんのことすきだって。ようちえんではいつもいっしょ。
おとなになったらけっこんしようね、とサキちゃんとやくそくしてる。
でも、そのことをママにはなすと「おんなのこどうしは、けっこんできないのよ」という。パパは「まあ、ずっとおともだちでいられればいいんじゃない?」とわらう。
ときどきママは「おとこのこともあそんだら? きんじょのユースケくんとか、やさしくていいこよ」という。
たしかにユースケくんは、いいおともだち。でも、おともだちは、おともだち。サキちゃんをすきなのと、ちょっとちがう。
りん、おかしいのかな。おんなのこをすきになっちゃ、いけないのかな。
なきそうになりながら、やじるしをみていると、いつのまにか、となりにぶたさんがいた。
「ねえ、ぶたさん、ここはどこ? あなたはなんで、ここにいるの?」
「こんばんは。ここは、りんちゃんの夢のなかだよ。ボクは、えらぶー。迷っている子供たちと、お話するのが、ぼくの仕事」
「どうしてりんのゆめのなかにいるの?」
「大切な子を探しているんだ」
「みつかるといいね。わたしも、すごく、たいせつなこがいるんだ・・・でも・・・」
「どうしたの?」
「うん、りんのすきなこは、おんなのこなの。へんかな?」
「りんちゃんは、どうしたいの?」
「わたしはサキちゃんのおよめさんになりたい。でも。ママはだめっていうし。どうしたらいいか、わからない」
おめめから、なみだがポロポロこぼれて、とまらなくなっちゃった。
りんがなきやんだら、ぶたさんがいった。
「じゃあ、おめめをつぶってごらん」
「えーと、こうかしら?」
「そうそう。なにか、みえた?」
「あ、みえた。じどうしゃにのってる」
「そう。じゃあ、だいじょうぶだね」
「りん、よくわからない」
「りんちゃんは、ワガママでいいんだよ。おやすみ」
ママには、「ワガママはいけませんよ」とおこられるけど、いいのかな。むずかしくてわかんない。ムニャムニャ・・・
あれ、いま、ゆめをみていたのかな?
りんのめのまえでは、サキちゃんがすやすやねている。
よかった。おてて、つないじゃおう。ほんと、よかった。
ムニャムニャ・・・
ちっちゃいトラックのにうしろのせきに、おとなになった、りんとサキちゃんが、ならんですわっている。トラックは、おひっこしのにもつをいっぱいつんでいる。
「これから、りんちゃんといっしょにくらすの、すごくたのしみ」とサキちゃんがいってくれた。
「もうすぐつくよー」
おひっこしのてつだいと、トラックのうんてんをしてくれたユースケくんが、おおきいこえで、おしえてくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます