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花が朝と出会ったのは偶然だった。いや、もしかしたら偶然ではなかったのかもしれない。朝は花の友達の野山福の幼馴染だった。花は福に紹介されて朝と出会った。
背が高くて、小綺麗な格好をした素朴な、優しい目をした優しい少年。それが朝の第一印象だった。朝は男性的と言うよりも中性的な顔をしていた。体つきは細身で、でも福と同じように運動が得意で、筋肉質な体をしていた。
花は朝と話をしながらこの子はきっとこのままとても優しい大人になるんだろうなって思った。
花は福と朝を見ながら二人はお似合いだと思った。花はてっきり二人はお付き合いをしたいるのだと思っていた。友達の福ちゃんがずっと秘密にしていた年下の幼馴染の恋人をついに私に紹介してくれているのだろうと思っていたのだ。
だからお茶会の途中で朝から恋の告白をされたとき、花は思いっきり飲みかけていた紅茶を吹き出してしまった。
この子はなにを言っているんだろうと思った。恋人のいる席でなぜ私に(しかも自分の恋人の友達に)恋の告白をしているのだろうと思った。
花が福を見ると福は必死に笑いをこらえていた。その福の楽しそうな顔を見て、ようやく花は自分が騙されていたことに気がついた。(あんまり喧嘩をしたことがない二人だったけどこの日は大喧嘩した)
花は朝の告白を断った。
今は誰ともお付き合いをする気はないと言った。でも朝は諦めなかった。それからいろんな口実で花と会っていろんな話をして、そして別れ際にはかならず恋の告白をした。最初は呆れていた花だったけど、まあ悪い気はしなかった。朝は花の好きな顔をしていたし、優しいし、なんでも言うことを聞いてくれるし、子供だと言うこと以外は、まあ合格だった。
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