第36話報復行動4


 さて、今回の件をロザリンドに伝えてあげないと。

 彼女が国に戻ってきたら驚くでしょうね。

 貴族達に報復したついでに国の制度に物申したのを知ったら、なんて思うかしら?


 よくやった?

 いくらなんでもやりすぎ?

 可能性を潰すな?

 

 それとも呆れられるかしら?


 私の主張が通ったと知ったら、どんな顔をするかしら? ああ、本当に楽しみだわ。


「自分達が言い出した事ですもの。有言実行していただかなくてはね」


 我が国は昔から女性の社会進出に積極的でした。

 ですが、制度自体が古いものが多かったのも否めません。今までそれで問題が起きなかったので、良しとされてきました。ですが、近年では共働き世代も多く存在しています。宮廷貴族の大半が共働き世代。これを機に制度の見直しを提案してみたのです。貴族の領地と違い国の役職すら関係してきますからね。勿論、残される制度もあります。それで効率が良いと判断されれば当然それは残されるべきもの。


 何も無理難題を言った訳ではありません。


 男女平等の権利を行使したまでの話。


 だって何時までも「女性特別採用制度」なんて必要ありませんでしょう?

 女性の社会進出を促すための古い制度。

 女性文官の採用枠を緩和する目的で作られたと言っても過言ではありません。要は、一般の採用制度で落ちた女性の救済措置です。

 出来たばかりの当時ならいざ知らず、今では時代遅れの代物。


 要らないでしょう?


 ただ一つ懸念があるとすれば、それを利用しようと考えていた女性達。

 彼女達はどう思うかしら?


 突然、制度が代わって困惑するでしょう。

 そして、こう思うはず。


 どうして制度が変わったのか、と……。


 隠し立てはしない。

 調べれば立案者が私だと分かるでしょう。

 私に文句を言いに来る?

 侯爵令嬢に?


 そんな事はできないでしょうね。


 ならば、どうして侯爵令嬢がそんな真似をしたのかと疑問に思う筈だわ。


 真の理由を知った時、後を担うはずだった女性達はどう思うかしら?

 そうなった切っ掛けの女性達は悠々と過去の制度で登用されている。


 許せるかしら?


 そんな気概ある女性はさぞかし少ないのでしょうね。



 

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