ショートショート「電車の中の幸せ」

「金銭的な余裕は幸福に直結しやすい。なぜなら、多くの人々と巡り合える機会を増やすことができるからだ。では、どうすれば金銭的な余裕が生まれるか。本章ではそれについて述べたいと思う。」

 いい本だな。このページには付箋を貼っておこう。やっぱり幸せになるには、こうしてあらゆる本を読み、講演会にも参加していくことで、人生を豊かにする秘訣を知るのが大事だよな。今の仕事も努力して勝ち取ったものだ、いずれ成功しないと…ん?隣でぐっすり寝てるやつがいるな。呑気なもんだな。急に起きたかと思ったら、バタバタし始めたな。ははあ、次の駅で降りるのか。あ、ハンカチ落とした。拾ってあげよう。

「これ、落としましたよ。」

 礼を言って降りてったな。こうして、色んなことに気づいて動いていけば、いずれ俺は幸せになれるんだろうな。


「おいおいおい、火事じゃないか!なんでだよ!なんで僕の家が燃えてるんだよ!」

 …あ、夢か。ビックリした。でも、火事の夢は吉夢っていうからな。良いことが起きるんだよな。まあ、こうして今の仕事をやらせてもらってるのがもうラッキーなんだけどな。職場の人たちもいい人ばっかりだしな。そういや次、何駅だ?え、もう降りないといけないじゃん!早く降りる準備しなと。よし、じゃあ急いで職場に…ん?あ、僕のハンカチだ。

「ありがとうございます!」

 よかった、大事なハンカチだったんだよな。こうして色んな人たちに気づいてもらえて、僕は幸せだな。

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