自ら選んだ暗殺道の暗殺者、異世界へ旅に出ます。

竜乃 愛者

第一章 暗殺道を歩むまで。(回想)

始まり:俺の人生

蘭淳也あららぎ じゅんや。まだ16歳の頃の話だ。好きなものは神話や異世界といったいわゆる架空の物語。

なぜなら素直にありのままの自分を受け入れてくれる、自分の結果に行ったことに対してそのまま答えてくれるからだ。……嫌いなものは人間だ。なぜかって?


周りの様子をうかがうと一目瞭然。



「おい、根暗の蘭だ。」 「出た学校一の嫌われ者」「前髪長くして、陰キャの中の陰キャよねぇ」



学校の生徒大半、いやほぼ全員が俺を嫌う。見た目が薄暗いだとか目が恐いだとか人の気も知らずによくもまあそこまで辛辣な言葉を並べられるもんだよ。


生徒だけじゃない、指導職員・担任・校長・教頭すべてから嫌われる。


毎日こんな調子だ。

こんな目に合うのは全部親のせいなんだ。


父親は俺が12の頃、会社からの過度な仕事量に耐えられなくなり、吹っ切れたのか薬物を使って壊れた。それを恐れた母は父親と離婚。

母親は世間から卑下され社会的に死を感じ夜逃げした。父はその後警察に捕まり家族との距離をとることになった。


この二人のせいで俺の生活はドン底状態。ニュースを見た生徒が俺を「ろくな人じゃない」と言わんばかりの目で俺を見て陰口を言う。

それが連鎖して噂となり、学校で悪い有名人になってしまった。最悪だよ…


取り残された俺は自分を大切にしてくれる数少ない母方の祖母の家に住むことにした。

こんな俺を生かしてくれる存在が祖母と……あともう一人。


「大丈夫?ここは生徒会長である私がガツンと皆にに言おうか?」


彼女は菅谷愛茉すがや えま

俺が一人のとき毎度しつこいってくらい心配して声をかけてくれる大切な人。

そしてこの学校の生徒の一人。



「そんなことしたら君の信用がガタ落ちして学校で辛い目に合うぞ。」


「一人の大切な生徒を守れずに生徒会長をやってられるもんですか!」


彼女は容姿端麗、文武両道、人望もある学校一の人気者。そんな彼女がどうしてこの俺なんかに声をかけてくれるのかと聞いたんだか君が寂しそうな目をしていそうだったからだそうだ。

まったく馬鹿が付くほどのお人好しだよ。


彼女だけだよ、クソ学校で優しい人は。

毎朝笑顔で挨拶してくれる度に元気をもらえる。二人きりになるといつも話しかけてくれる。

俺と話す姿を見て他の生徒は




「大丈夫?見下されてない?」


「あんな奴ほっといて私たちと遊びに行こうよ。」



そんな事言われても愛茉は動じず俺と一緒にいることを優先しようとしてくれる。

てか見下してんのはお前らだろ。ブーメラン乙~。




そんな彼女は俺にとって勿体ないくらい可憐で優しい人だった。

彼女といるだけで俺の人生は晴れていくような気がした。




でも、それは長くは続かなかった……

17歳になり、もうすぐ3年生になる前の春休み。








事件は起きた。



「次のニュースです。昨日午後14:00頃、越後山のキャンプ場で17歳の女子高校生、菅谷 愛茉さんが行方不明となりました。」


は?嘘だろ?愛茉が行方不明?


その時の俺には容疑者が誰だとか頭に入る事はなかった。ただ愛茉が行方不明だということだけが頭をよぎった。

原因は越後山の裏トンネル先にある異世界樹に飲み込まれた可能性がある。




「最近は物騒なことが多いねぇ。淳也も気をつけるんだよ。」




祖母は俺と愛茉の関係なんて知らないため、他人事な形でしかとらえられなかった。

けれども、俺にとっては関係のありすぎる内容で絶望でしかなかった。





数カ月が経ち、一つの職業サイトが目に止まった。

  

  “《暗殺者、始めてみませんか?》”



なんだこのサイト。暗殺者に?詐欺職業か?

そもそも実在するのかも分からない暗殺者の職業なんて信用できない。どうせ、高額バイトとかのおいしい話で釣る犯罪職とかだろう。


けれども、少し気になるので恐る恐るサイトを開き閲覧することにした。




高卒、社会人、素人歓迎。経験者も採用。

二年間の訓練及び暗殺の基礎、応用知識を獲得後、すぐに仕事に就ける即興性あり。

学歴 高卒後 高学歴不要  

国認定の裏社会の用心棒。

努力次第で特殊任務あり。


就職後の時給(初給 年給650万~850万)980万~1200万     

休暇 その他  学費・入学金無し。


主な目的 裏社会で犯罪を犯す罪人を殺す。ターゲットの情報はこちらから渡し、ターゲットのみ暗殺していただきます。


就職先

全国各地の暗殺会社 他国の暗殺会社 潜入捜査  

危険区域の探索(例;異世界樹の探索)…ect



っ?!

この仕事ならもしかして…



別の日

買い物から帰宅するとき近くのマンションで犯罪が起きた。

2kmほど離れた工事中のマンションの上が一瞬光ったように見えた。

弾丸だった。その犯罪者はそれによって射殺された。


「あぁ。おそらく”暗殺者の仕業だろう。」


一人の警察官がそう言っていた。

やっぱりさっきのは暗殺者だったのか?

確信した、暗殺者は実在する。

公共機関のましてや警察が口にしているのだから形はどうあれいることに変わりはない。


そして知らない所で暗殺者も勘づいていた。


「暗殺者 おきて第二を憶えているか?」


「確か、暗殺するところは仲間以外の誰にも知られてはならないで……あっ!もしかして…」


「あの少年、弾丸の当たった位置と軌道から俺らの位置を特定していた。」


「!?そんなまさか。一般人の少年が?」


「少年だからといって侮ってはいけない。少なくともお前よりも観察力が優れているのは確かだな。」




前に見つけた暗殺者のサイト。


「公共的なものではないので、通常は本部に来ていただき、そこで受付をしてもらう形になります。

個人情報はお伺いしませんので、自信が最も行きやすい地域を教えて下さい。」


質問に応じ、注意事項や地図を印刷した。

来たる日のために。


数カ月後、卒業。正直肩の荷が下りた気がする。


その後、俺は保険会社を装った会場に行って試験を受けて見事合格でき、新たな人生と出会えた。


…別れも同時だった。

3ヶ月前くらいから祖母の調子が急に崩れ始めて救急搬送で入院したが病状が悪化して1週間後、老衰でこの世を去った。


色々と迷惑をかけた祖母の思いを背負って行方不明となった愛茉を捜すために俺は暗殺者をやらなければならないんた。


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