王道学園で幽霊になった話
ピピ
第1話 死んだっぽい
誰でもいいから聞いてほしい。
死んだんだ。
誰がって?俺。
いやーびっくりびっくり。びっくりし過ぎて白目むいた気がするけど気のせいだよね。
俺は今とてもCool。そう、冷静だ。
なんか外で目が覚めて『俺、立ちながら寝てたのか、、、?』と思って足下見たら自身の体が浮いていたというだけなんだ。決してそれを見て腰を抜かしてなどない。ただ白目をむいただけだ。
目が覚めてから体感で数分程が経った気がする。(実体ないけど)
今の時間は夕方だ。なんか妙に明るい気がするが夕暮れ時によく鳴く虫の音が聞こえてくるため夕方だろう。
辺りを見渡せば木々と校舎と思わしき建物が建ってある。俺は此処で死んだのだろうか?思い出そうとしたが無理だった。諦めの早い男とは俺のことである。
気を取り直して再び辺りを見渡した。ふと下を見ると相変わらずどういう原理で浮いているか分からない自分の体、そして花束。
綺麗な花束だ。俺の好きな色の花なのは偶然なんだろうか?偶然じゃなければいいと思う。だって嬉しかったし。まあ、それと同時にさびしく思ったけど。
だって思い出せないんだ。家族も友人も周りに居たはずの人間を。顔も声も。そもそも自分の事も思い出せないけど。
ま、思い出せないならしょうがない。思い出すきっかけを作るまで。繰り返す様だが俺は諦めの早い男、それに加えて切り替えの早い男である。格好いいだろ?格好いいと言って、、、!
おっほん、気を取り直して。この花束は大方俺に向けたものだろう。つまりは俺が死んだことを裏付けるものでもある。本当なんで死んだんだ?
それにしても俺にも花を手向けてくれる者が居ることを知りホッとした。死んだことは変えられない。そしてまた、いつ消えるかも分からない。別に消えることは怖くない。もう人生は終わっているのだから。
だが、その人生を、花を手向けてくれた者を知らないまま消えるのは嫌だと思った。何かに負けたようで悔しい。
だから残りの人生(もう人間じゃない気もするけど)、ここに存在する限りその者達を知ろうと思った。
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