第2話魔王と逃走する者

着いてくるな。

君達まで裏切り者なったら

君の身の命も危ない。

この魔王がいなくなれば、

平和になるそれだけの事。


しかし、あなたがいなければ

私の生きる意味などないです。

この命は魔王様のもの。

あなたに捧げた命。

他の魔族のためにこの命を預けたくありません。

抜け出した事が分かれば大幹部に怒られるぞ

居場所すらなくなるんだぞ。

もう一度よく考えろ。

平和にするも戦闘を起こすのも

残ったものが決める。

もう魔王に権利はない。


魔族にとっては不適合者だったのかもしれん

それほどリーダーの素質もなかったし

信頼もなかったのだろう。


嫌です。私はあなたと共に行きたい

これは私のわがままです。


君がそこまで言うなんて

何が君をそこまで変えたのだ。


なぜ魔王様がこの地から

出なくてはならないのですか?


それを決めたのは幹部達だ。

総会で決まったらしいんだ。

満場一致だったそうだ。


その時俺は欠席だったんだが、 

向こうからすれば

いい機会だったんだろう。

そのタイミングが合った。

それだけの事。


パーティー内で解散や解雇は

聞きますが、身内で実際に

目の当たりするのは初めてです。


それは。俺だってそうだ。

それだけ歴代の魔王が有能だったのか

がよく分かる。


力も知能も優秀な者の下にしか

後には着いて来ない。

それが今の魔族の世界だ。


人間界に行っても仲良くなれる

保証などどこにもない。


受け入れてくれる人間は

この世界にどれくらいいるのだろうか。

魔族だからって理由で討伐されるのが

目に見えてる。


それでも行くと言うんですか。


そうだな。それが運命なら

それを受け入れるしかない。


魔族が働いてる場所や

一緒に暮らす所もある。

たどり着いた街の反応次第だな。

そこで今後の人生は変わると言っても

いいだろう。


そこで討伐されたら

俺の人生はそこで終わりだ。

だからこそ最後になるかも知れない

から話す。

君は何がなんでも生きるんだ。

時には苦しい事も悲しい事も

困難も起きるかも知れない。

それでもその命の灯火が消えるまで

頑張って欲しい。



嫌です。そんな最後になるかも

知れないなんて。

もしここで行かせたら、

二度と会えないかも知れない

そんなのはやっぱり嫌です。


私は何がなんでも着いていきます。

私の英雄は魔王様あなたなんです。


そこまで覚悟で着いてくるなら

自分の命は自分で守れよ。

責任は取らない。

今なら引き返せるぞ。

安全な魔王城に。


何度聞かれても私の答えは

変わりません。


本当にいいんだな。

追手が来ても。反乱する覚悟があるんだな

俺に着いて来るとはそう言う事だぞ。


私の命はもう無かった。

あなたに人生を救われた。

だから何がなんでも着いていく。

たとえあなたに嫌われようとも。


他の魔族はいないようだな。


じゃあ行くぞ。君が抜け出したことが

バレないうちにな。


さよなら、魔族。さよなら魔王城

もう二度とここには帰って来ないだろうけど


とりあえず身元がバレないように

このフードを被れ。


はい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔王の生活 闇影夜 @yamikageyoru

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る