第7話 秘薬



 休憩室で皆さんと談笑しながら、おやつを食べてると、リアお姉さんが話しかけてきました。


「チヨ、お仕事の調子はどう?」

「なんとかやってますっ」

「うふふ、がんばってるみたいね。誰でも最初は間違えたりするものよ。一つの失敗をあんまり気負わない事」

「ありがとうございます」


 リアお姉さんが励ましてくれたので、元気が出ました。


 拳を作ってがんばりアピールです。


 ご主人様のドエスで陰険な言動にも負けませんよ!


「そうだ。チヨあてのお荷物が届いてるわよ」

「お荷物ですか?」


 この屋敷以外では、この世界に知り合いのいない私に、どこからかお荷物が届くはずがありません。


 首を傾げていると、箱を差し出されました。


 この世界の文字で書かれているので、読めないですが、かろうじて宛名だけは分かりました。


 確かに私宛てですね。


 明けてみると、液体の入った小さな小瓶が一つ。


「もしかしてカズリアの秘薬です?」

「そう、あたり」


 疑問が解けました!


 そうでした。


 うっかりしていました。


 実は!


 このお薬めちゃくちゃ重要なものなんです。


 今さらですけどもっ。


 ご存じの通り、私はこの世界の住人ではありません。


 だから、ちょっとこの世界の人達とは体質が違うらしくて。何もせずに放っておくと体調不良になってしまうみたいです。


 ですから、それを解決するためにこのお薬が必要なんです。


 高級だから、私のお小遣いでは買えないんですけど。


 ご主人様がわざわざ頼んで取り寄せてくれてるんでした。


「あとで、ご主人様にお礼言っておかなくちゃ」


 普段陰険ドエスなのに、こういう所が優しいから憎めないんですよね。


 人の事こきつかうし、俺様だし、失敗したら。ねちねちしてくるし。


 でも、分かりにくいですけどっ!


 良い人なんです。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る