【月】【見返り】【最後の脇役】

 ジャンル:スイーツ(笑)


「スタンダップ」

英語の挨拶で授業が始まる。

「シッダウン」

「今日はグループで課題に取り組んでもらう。三人でグループを作れ」

 先生に言われて、私は綾香と彩乃と同じ班になった。

「今回は趣向を変えて、英語で三題噺にチャレンジしてもらう。三題噺と言うのは三つのお題からショートストーリーを作ると言うものだ」

「先生! それって英語で書けってことですか?」綾香が手を上げて言う。

「当たり前だろ」

「え〜、最悪。あたし、そんなの絶対ムリ」

「大丈夫、うちの班には有香がいるんだから」そう言って彩乃が綾香をとりなす。

「でもさ、でもさ、有香に頼ってたら英語の練習にならなくない?」

「意外と真面目なのね、よし! まずは私たちだけでやってみよ」

「それじゃいいか、お題は『moon』『the last backseat player』『desert』、ジャンルは自由だ」

「えっと、まずmoonは月でしょ、the last backseat playerって何だっけ?」彩乃が独り言のように呟く。

「分かった最後の補欠じゃない」綾香がそれに答える。

「最後の脇役ね」

「待って、有香はまだ口出さないで」彩乃がそう言って私を制する。

「ごめん、分かった」

「desertは、そのままデザートね。月に脇役にデザートか、なんかいけそうな気がする」彩乃が得意気に言う。

「えっと、……」

「だから〜、あたしたちに任せて。彩乃も言ってたじゃん有香はまだ待ってって」

「でも」

「いいからいいから」二人は声を揃えて言う。

「あたし的には月と言えば、かぐや姫ね。かぐや姫って助けてもらった見返りになんかくれるんじゃ無かったっけ?」

「それは浦島太郎じゃない? 私、閃いたかも。月と言えばウサギの餅つきでしょ。餅でデザートと言えば、ぜんざい。ぜんざいで最後の脇役といえば、梅干しか塩昆布ね」

「よし! それで行こう! じゃあジャンルはスイーツ(笑) まずは日本語で考えよ」綾香が乗っかる。

「あのね、……」私は思わず口を挟む。

「有香が何を言いたいかは分かるよ。日本語からじゃなくて直接英語で考えなさいってことでしょ? でも私たちはそんな得意じゃないから大目に見てよ」

「そうじゃなくて」

「何?」そう言って二人は私に視線を向けた。


「desertはデザートじゃなくて砂漠なんだけど」


 ※dessert デザート


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る