【入学式】【化石】【ゆがんだ罠】
ジャンル:指定なし
「校長式辞」司会者のアナウンスと共に入学式が始まる。
「暖かな春の日差しに桜の花も美しく咲き誇っております。それはあたかも、新しい舞台に立つ皆様の門出を祝福しているかのようにみえます」
新任の校長が取ってつけたような台詞を並べた。
「よく日本の教育方針が問題視されることがあります。個性を犠牲にして平均化した生徒を量産していると揶揄されることもあります」
校長はちょっと他とは違うよ的なエッセンスを加えようとしているようです。
「私は、皆様に定説というものを鵜呑みにするのではなく、疑問を持つところから始めて欲しいと思います」
生徒たちは退屈そうに聞いています。
「例えば石油のことを化石燃料と言います。これは太古の地層に眠る古代生物が化学変化を起こしたものとされているからです」
校長はドヤ顔です。
「しかし、これはゆがんだ罠とする説があります。つまり本当かどうか分からないにも関わらず、さもそれが真実であるかのように流布されているのです。皆様にはまずは疑うところから始めて欲しいと願います」
意外にもその言葉は生徒に響いたようです。
「甚だ簡単ではございますが新生活を迎える皆様に三つの言葉を送りたいと思います、一つは、……」
生徒の集中力は限界を迎えました。
「最後に、新入生諸君の充実した学校生活を願って式辞といたします」
居眠りしていた生徒もその声に目を覚ましました。
そして、学校生活が始まりました。生徒たちは勉強の必要性を疑って勉強しなくなりました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます