7日目 午前6時6分
けたたましいチェーンソーの音に、私の意識はハッと覚醒した。
目の前には血塗れの客室、某夢の国のキャラクターそっくりな被り物をした気の触れた殺人鬼がいるはずだが。
割れた窓から吹き込む大粒の雪、ダイニングテーブルが撤去されてだだっ広い、室内灯で明るく照らされた食堂内。
そして、その窓際にいたのは。体長3メートルはあろうか、真っ白な毛で覆われたゴリラのような生き物、唸るチェーンソーを構えたユキゴンであった。
「メイドさん! プロジェクトO、完了してるよ!」
背後からいくつもの悲鳴ともに、奏人の必死な叫びに私は振り返る。
一人として欠けていない、恐怖に怯えるも何とか正気を保った登場人物たち。
私はにやりと笑った。
化け物には化け物を。バグにはバグをぶつけてしまえ!
私はユキゴンに向き直り、高らかに叫んだ。
「ほら、かかってこい! 速攻で終わらせて世界新記録狙ってやる!」
ユキゴンは身の毛もよだつ咆哮をし、二本足でどすどすと登場人物たちに向かって突撃した。
巨大なシャンデリアが真上に飾られた部屋の真ん中、ちょうどダイニングテーブルがあった場所を化け物が踏んだ瞬間。
突如、床板が割れて、ユキゴンが盛大にうつ伏せで倒れたのだ。
「お父さんたち! ヒモを切って!」
宗形と棚谷は顔を見合わせ、壁に結ばれていた荒縄をナイフで切り落とした。
ユキゴンがとっさに身を起こすも間にあわず。
ーーガシャーン!!
全てを終わらせる大きな音と共に、ユキゴンはシャンデリアの下敷きとなった。
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