序章4 心と舞美の約束

えみ(え?聞こえたの?)

えみはびっくりしてその子の顔をじっと見た。

心(可愛い。えみちゃんてこんな可愛いかったんだ)


心「何して遊ぶ?」


えみ(聞こえてないか)

えみは首を傾げた。


心「じゃあチョットきて!」


えみの手を引っ張り外に出ようとする。

靴も履かずにえみは引っ張られるままついて行った。

するとそこには大きな木があった。

えみ(こんな木あったんだ)


心「大きいでしょ?かっこいいでしょ?」


心(よし。びっくりしてる!)

そう言うと心は木の根本に座った。


心「えみちゃんも来なよ」


えみも座った。

えみ(寒いなぁ。早く戻りたい)

すると心がえみの手を握った。


心「今日一緒に帰ろうね」


えみ(何で?どうゆう事?どうしよう。まぁけど今日だけならいいか)

えみは頷いた。


そして幼稚園が終わると舞美がえみを迎えに来た。


舞美「えみちゃん!迎え来たよー」


えみは舞美の所に向かい手を握り帰ろうとする。

えみ(あれ?心君いない)

えみは少し周りを見る。

すると心がえみの所に走ってきた。

えみ(来た!)

心は舞美の事をしばらく見ている。

心(綺麗な人。誰だろう?)


心「おばさん!僕もえみちゃんと帰る!」

舞美「お!君は誰だー?」

心「心!今日から僕はえみちゃんを守る!」

舞美「ん!本当にー?えみちゃんみたいに可愛い子守れるかなー?」

心「うん!」

舞美「私もえみちゃんの事守ってるんだけどな。じゃあ今日は私と一緒にえみちゃん守ろう!」

心「うん!」

舞美「じゃぁ君に1つ約束してほしい事がある!」

心「何?」

舞美「私はおばさんじゃない!舞美ちゃんだ!舞美ちゃんと呼びなさい」


心(結局誰?)


心「わかった!」

舞美「よし!じゃあ行こっか!」


えみはその日舞美と心と帰る事になった。


舞美「心はえみちゃんと前から仲いいの?」

心「んぅん。今日初めて話した」

舞美「そうなんだ。えみちゃんはいつも何してるの?」

心「絵かいてる」

舞美「誰と?」

心「1人で」


舞美がため息をつく。


舞美「心はいつまでえみちゃんの事守ってくれるのかな?」

心「ずっと」

舞美「じゃあ幼稚園にいる時はえみちゃんの事よろしくね」

心「いいよ」


えみの家に着くと舞美が言った。


舞美「心、家で何か食べてく?」


えみ(えー!いいよ!これ以上心君といるの嫌だ)


心「いい。帰る」


えみ(よかったぁ)


舞美「じゃあ送ってくよ」


舞美は心を送る事にした。


えみが家に入ると舞はコタツに座りテレビを見ている。

そしてえみに気付く。


舞「あれ?舞美は?迎え来なかったの?」


えみは首をふった。


舞「そっか。帰ったのかな?まぁいいや。えみちゃんおいで」


えみは舞の膝の上に座らされた。

そして舞はテレビを指差し、


舞「かっこいいでしょ?じぃじもあれくらいかっこよけれはよかったのにー。ばぁば失敗したー!」


えみは顔を傾けた。

えみ(じぃじに似てるけどなぁ)


その頃心と舞美は。


舞美「心、幼稚園の帰り皆は友達と帰るのに何でえみちゃんだけ私達が迎えに行くか知ってる?」

心「知らない」

舞美「じゃあ何で喋らないかは?」

心「知ってるよ。お母さんとお父さん死んじゃったからでしょ」

舞美「そう。私そのお母さんの妹なんだ。だからえみちゃんのおばさん。心のおばさんじゃないから舞美ちゃんね!」

心「わかった」


しばらく2人とも黙り歩いた。


心「ここ」

舞美「家からすごい近くじゃん!」


すると舞美は深呼吸した。


舞美「心?えみちゃんは私達の前で泣かないの。だからお願いがある。てか命令かな。いい?心はえみちゃんと凄く仲良くなって心の前でなら泣ける位いつまでも一緒にいてあげて。お願いします」


舞美の声は喋るにつれて震えていた。


心「わかった。大丈夫。明日も遊ぶ」

舞美「よし。よろしく!」

心「それじゃ、舞美ちゃんバイバイ!」

舞美「はい。バイバイ」


帰る途中舞美は上を向いた。


舞美「あいつ本当にわかってんのかな?それにしても可愛い顔してたなー」

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