第30話 最強の協力者が出来ました
「そうだったのね、幸、大変だったわね。今までよく1人で頑張ったわ。これからはもう大丈夫よ。私も一緒に戦うから!」
力強くそう言ってくれたいっちゃんが、頼もしくてたまらない。
「ありがとう。いっちゃんはいつも、私の事を気にかけてくれていたよね」
いっちゃんはいつでもどんな時でも、私の味方でいてくれた。本当に大切な親友なのだ。
「私こそ、いつも幸には助けらえていたのよ。今世でまた会えるだなんて、やっぱり私達、運命の糸で結ばれているのね」
確かにそうかもしれない。前世だけでなく今世でもまた会えるだなんて。
「そうね、私たちは切っても切れない縁で結ばれているの。ねえ、いっちゃん、番外編は一体どんな話だったの?さっきクリスティーヌが2度目の生を生きているとかどうとか言っていたでしょう?」
私は番外編を読む前に命を落としてしまったのだ。だから、もしいっちゃんが知っているのなら、知りたい。
「番外編はね、クリスティーヌが結婚後、カロイド殿下から冷遇されているところから始まるわ。そこで初めて、カリーナ殿下が実はアルフレッド様が好きで、一向に自分の気持ちを受け入れてくれないアルフレッド様に復讐するために、クリスティーヌを兄でもあるカロイド殿下に惚れさせるように仕向けたのですって。無事クリスティーヌをカロイド殿下に惚れさせ、目的を果たした腹黒兄妹は、今度はクリスティーヌを虐めだしたって訳。全てに絶望し、自ら命を絶ったクリスティーヌは、12歳に戻っていたの」
「そんな話だったのね。だからいっちゃんは、カロイド殿下やカリーナ殿下の腹黒エピソードを私から聞いても、驚かなかったのね」
「ええ、ただ、カリーナ殿下がそこまで歪んでいるとは思っていなかったわ。漫画でもさらりと描かれていたし、主にあの腹黒兄妹がクリスティーヌを虐めて喜んでいる姿が描かれていたから」
なるほど、それでクリスティーヌが2度目の生を生きているかもしれないと思ったのね。それにしても結婚後、クリスティーヌがそんな生活を送っていただなんて、なんだかいい気味ね。
「それでクリスティーヌは、2度目の生ではどうだったの?もちろん、アルフレッド様と結ばれたのよね?」
「それがね、私が番外編を読んだのはそこまでなの。その後私も、命を落としてしまったから。ただ、アルフレッド様救済のお話しだと聞いていたから、きっとアルフレッド様と幸せになったと思うわ。ごめんね、私が生きていれば、あの腹黒兄妹の魔の手から、どうやって抜け出したのか知れたのに…」
申し訳なさそうに頭を下げるいっちゃん。
「どうしていっちゃんが謝るの?出だしだけでも教えてくれてありがとう。やっぱりあの兄妹、相当腹黒だったのね。私ね、アルフレッド様がクリスティーヌを殺害する様に仕向けたのは、きっとカリーナ殿下だと思っているの。あの人ならやりかねないわ」
「私もそう思うわ。本当に恐ろしい女ね。それにしても、敵がこの国の王太子と王女だなんて、本当に厄介だわ。私達は一応公爵令嬢だけれど、さすがに王族と戦うとなると、家の事もあるし…慎重に動く必要があるわね」
「それは分かっているわ。何とかカロイド殿下を、カリーナ殿下から引き離すことが出来れば、まだ何とかなるのだけれど。生憎あの変態、カリーナ殿下を尊敬している様だし…」
「あの男も変態の様だものね…ただ、相手は一応王族だから、表立って悪事は出来ないと思うわ。きっと裏から上手く動いてくるはずよ。とにかく、私もあの腹黒兄妹の動きを注意深く見守るわ。2人でアルフレッド様を守りましょうね」
「ええ、もちろんよ。いっちゃんが傍にいてくれるだけで、私は本当に心強いわ。ありがとう、いっちゃん」
ギュッといっちゃんに抱き着く。
「もう、幸ったら。大げさなのだから。ただ、私たちは今、レイチェルとクリスティーヌよ。万が一誰かに聞かれると厄介だから、極力今の名前で呼び合う事にしましょう。それから、敬語も忘れない事」
「ええ、分かりましたわ。レイチェル様」
久しぶりの親友の温もり…やっぱり落ち着く。
その時だった。バンとドアが勢いよく開いたのだ。
「クリスティーヌ!!」
この声は!!
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