あなたの重すぎる愛は私が受け止めます

第23話 アルフレッド様の話を聞きましょう

「まずはアルフレッド様、あなた様をカリーナ殿下と２人きりにしてしまい、申し訳ございませんでした。アルフレッド様がカリーナ殿下に苦手意識をもっている事を分かっていて、２人っきりにしてしまった事。そして今回、あのような事が起こってしまった事、全て私の責任ですわ。本当にごめんなさい」

「どうしてクリスティーヌが謝るんだい？君は何も悪くないよ。クリスティーヌ、僕は本当にカリーナ殿下を襲ってなどいない。これだけは信じて欲しい」

「ええ、知っておりますわ。それで一体何があったのですか？」

「クリスティーヌがトイレに向かった後、すぐに僕の傍にやって来て色々と言われたんだ。僕はただ、黙ってカリーナ殿下のいう事を聞き流していた。そうしたら急に僕の腕を引っ張り、そのまま彼女が倒れてしまった。バランスを崩した僕は何とか耐えたのだけれど、後ろから使用人に押されて…それであの様な事に…」

申し訳なさそうに俯くアルフレッド様。そんな彼の隣に寄り添い、ギュッと抱きしめた。

「そうだったのですね、お可哀そうに。あの場所でアルフレッド様を庇うことが出来ずに、申し訳ございませんでした。とにかくもう、カリーナ殿下には近づかないようにいたしましょう」

「クリスティーヌ、信じてくれるのかい？僕の言う事を」

「もちろんですわ。私はいつでもアルフレッド様の味方です。それにしてもカリーナ殿下、私の事をバカにしているのかしら？あの程度のお芝居を、私が見抜けないとでも？本当に腹が立ちますわ。それにカロイド殿下、どうして私にあのような部屋を見せたのかしら？」

色々と謎が多い。ただ、1つ言える事は、カロイド殿下は妹を尊敬していて、妹の為に色々と動いているという事だろう。

でもそれなら、どうしてあんな部屋を私に見せたのかしら？あんな部屋を見せられたら、アルフレッド様を諦めるどころか、余計に警戒すると言うものなのに…

もしかしたら私が、怖気づくとでも思ったのかしら？あの性悪王太子、どれだけ私を舐め腐っているのかしら！

「クリスティーヌ、殿下に何かされたのかい？そう言えば部屋から出るときも、殿下がこちらを見つめていたし…もしかして…」

「アルフレッド様が心配する様な事はありませんわ。ただ、あの腹黒王太子、どうやらカリーナ殿下の手助けをしている様で。でも今日、カリーナ殿下の部屋を見せてくれたのです。その…大変言いにくいのですが、アルフレッド様の似顔絵などで部屋中埋め尽くされておりましたわ。カリーナ殿下はかなりアルフレッド様に執着をしている様ですわね。アルフレッド様、カリーナ殿下に何を言われたのですか？」

アルフレッド様がこんなにも怯えるだなんて、きっとカリーナ殿下に何か言われているのだろう。でも、俯いてしまって何も話さない。

「大方、あなたは絶対に幸せになれない！とか、クリスティーヌ様に危険が及んでも知りませんわよ。とか、私と婚約しなかった事、一生後悔させてやる！とかでしょうか？」

あの漫画の傾向を考えると、大体こんな所だろう。

「どうしてわかったんだい？クリスティーヌは超能力が使えるのかい？」

「やっぱり…」

予想通り過ぎて、笑えないわね…

「僕はね…カリーナ殿下が怖いんだ…言葉はもちろんの事、なんて言うのだろう。ニヤリと笑った顔やあの瞳を見ていると、体がガクガクと震えだすんだよ」

「要するに、直感的に危険な人物という事を、アルフレッド様は感じ取っていらっしゃる訳ですわね。その直感は大切にされた方がよろしいですわ。きっとアルフレッド様にとっては、危険な人物で間違いないでしょうから。今日はそんな怖い令嬢に合わせただけでなく、2人きりにしてしまい本当にごめんなさい」

ギュッとアルフレッド様を抱きしめ、改めて謝罪をした。命より大切なアルフレッド様を怖がらせ怯えさせてしまった事、本当に悔やんでも悔やみきれない！私、一体何をしているのかしら？

「いいんだよ…クリスティーヌが僕の事を信じてくれただけで、僕は嬉しいよ。ただ、あの女、何をしでかすか分からないから、クリスティーヌも警戒して欲しい」

「もちろんですわ。あの腹黒兄妹には、厳重警戒で行きましょう」

その時だった。

「お嬢様、お待たせいたしました。お嬢様の指示に従い確認したところ、小型の盗撮器がお嬢様の制服の後ろにくっ付いているのを見つけました」

「ありがとう。その小型の盗撮器は、今もきっと犯人が映像を確認しているはずよ。至急機能不能にして。それから、私の机の上に置いてある小型の盗聴器も一緒にお願い。処理が終わったら、処分してもらって構わないわ」

「はい、かしこまりました」

やっぱり私にも付けられていたのね。あの腹黒王女！一瞬でもいい人だなんて考えた私が、大バカ者だったわ。