第22話 やりやがりましたわね
そのままアルフレッド様と一緒に馬車に乗り込む。すると
「クリスティーヌ、さっきは本当にすまなかった。でも、これだけは信じて欲しい。僕は絶対に、カリーナ殿下を押し倒したりなんてしていないんだ!僕が愛しているのは、クリスティーヌただ1人なんだ。だから…」
「分かっておりますわ。話は後で伺います。とにかく、少し静かにしていてくださいますか?」
アルフレッド様が嘘を付いているとは思えない。それならどうして私の動きを、カリーナ殿下が知ることが出来たのかしら?殿下や使用人が報告した?それとも私に盗聴器が付けれれていたのかも…
とにかくあの兄妹は何をやるか分からない。本当に信用できない。もしかしたら、アルフレッド様にも盗聴器が付けられているかもしれない。
確かアルフレッド様がクリスティーヌを殺そうとした時も、殿下が事前にアルフレッド様に盗聴器を仕掛けていて気が付いたのよね。あの時は…
アルフレッド様がいつも身に付けている、ピアスの裏だったわ!あのピアスは、ご両親の形見の品!そう、あの腹黒王太子は、アルフレッド様のご両親の形見の品に、あろう事か盗聴器を仕掛けたのだ!本当に鬼畜極まりない。という事はまさか!
「アルフレッド様」
ギュッとアルフレッド様に抱き付き、そのまま顔に手を回す。
「クリスティーヌ、どうしたんだい?」
「アルフレッド様が悲しそうな顔をされていたので、なんだか気になってしまって」
どさくさに紛れて、アルフレッド様の耳に付いているピアスの裏側に触れた。あった!やっぱりあの女!ぶら下がりタイプ物で、純金の大きめのピアスなので、アルフレッド様に気づかれずにつけやすいのだ。
きっと倒れ込んだ時に、付けたのね!スッと取り外した。
現に私も、アルフレッド様に気づかれずにとる事が出来た。
という事は、私にも付けられている可能性が高いわね。私はどこかしら?
まあ、私は家に帰ってからゆっくり探せばいいか!それにしても、公爵家の人間に盗聴器を付けるだなんて!本来なら抗議をしたいところだが、彼らが付けたという証拠はない。
とにかく、油断は出来ないわ!
「クリスティーヌ、怖い顔をしているね。やっぱり僕の事を怒っているのかい?僕の事、嫌いになった?」
不安そうな顔で私を見つめてくるアルフレッド様。なんて愛らしい顔で見つめてくるのかしら?尊すぎるわ!
ギュッとアルフレッド様を抱きしめ
“嫌いになる訳がございませんわ。詳しい話は、後でゆっくり聞かせていただきますね”
アルフレッド様の耳元でそっと呟いた。とにかくこの盗聴器を、どうするかだ。それから私の体に盗聴器が付けられているかもしれないから、その確認もしないと!
完全に私が怒っていると思っているか、シュンとしているアルフレッド様。私はこれっぽっちも怒っていないわよ。そう言った意味も込めて、ギュッと手を握り、アルフレッド様に向かってほほ笑んだ。
すると、アルフレッド様が少し悲しそうに笑ったのだ。だから、そんな顔をしないでよ!
屋敷に着くと、私から離れたがらないアフレッド様を一旦引きはがし、身に付けていた物を全て脱ぎ捨てた。
「お嬢様、素っ裸になるだなんて、はしたないですよ」
アリアが怒っている。ただ、この中に盗聴器が仕掛けられている可能性が非常に高いのだ。一旦着替えを済ませるとアリアに
“私の服や私物に盗聴器が仕掛けられていないか、至急確認してもらって”
そう紙に書いて、見せた。目を大きく見開き、一体何のことやらさっぱりと言った顔をしたが、すぐに
“承知いたしました。すぐに確認させます”
そう紙に書き、私が今日持っていた学院のカバンを始め、制服やアクセサリーを全て持って部屋から出て行った。
さあ、盗聴器の撤去も依頼したし、アルフレッド様の元に向かわないと!
急いでアルフレッド様の部屋に向かい、部屋をノックした。すると、泣いていたのか目が赤いアルフレッド様が出てきたのだ。
やっぱり私、またアルフレッド様を泣かせてしまったのね…
「アルフレッド様、泣いていたのですね。ごめんなさい。さあ、ゆっくり話をしましょう。一旦お部屋も移動しましょう」
「クリスティーヌ、僕は…」
「大丈夫ですわ。私はあなた様を信じております。あの腹黒王女なんかに、もう二度とあなた様を傷つけたりはしません!」
「クリスティーヌ…」
今にも泣きそうな顔で付いてくるアルフレッド様。なんだか子犬みたいで可愛いわね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。