第3話 アルフレッド様が素敵すぎます
「待って、クリスティーヌ。今から義父上のところに話しに行くのだよね。僕も行くよ。正直、まだ君が本当に王太子殿下の事を諦めてくれるのか不安で…昨日は2人で楽しそうに話しをしていたから」
「分かりましたわ。それなら一緒に行きましょう」
アルフレッド様の手を握り、2人で歩く。まさかこんな風にアルフレッド様に触れられるだなんて、幸せすぎるわ。こんなにも素敵な男性に昨日までの私は、恐怖を抱いていただなんて。本当に私は何を考えていたのかしら?
でも、今の段階で前世の記憶を取り戻してよかった。今までアルフレッド様を避けていた分、これからは全力でぶつかっていこう。
アルフレッド様の顔を見つめながらニヤニヤしていると
「クリスティーヌ、今日の君はどうしたんだい?昨日までは、僕が話しかけてもすぐにどこかに行ってしまっていたのに…でも、嬉しいよ。またこうやってクリスティーヌに触れられるだなんて。僕はね、クリスティーヌの柔らかくて温かい手が大好きなんだ。この手を握っていると、僕は落ち着くんだよ」
そう言うと、少し恥ずかしそうに微笑んだアルフレッド様。なんて…なんて素敵な笑顔なのかしら!こんなにも素敵な笑顔がこんなにも近くで見られるだなんて…私、もう思い残すことはないわ。このまま天に召されても…て、ダメよ!
私はこれから、たっぷりとアルフレッド様に愛情を注ぎこんで、彼を幸せにするのだから!
「アルフレッド様、昨日まではなんと申しますか…私も色々と考える事があったのです。でもこれからは、自分に正直に生きようと思っておりますわ。ずっとアルフレッド様の傍にいたいと思っているのですが、よろしいでしょうか?」
ある意味人格が変わっているが、受け入れてくれると嬉しいのだが…
「もちろんだよ。僕は君さえいれば、何もいらない。ありがとう、クリスティーヌ。本当にありがとう」
宝石の様な美しい青い瞳から、ポロポロと涙を流し、私を抱きしめるアルフレッド様。きっと今まで、クリスティーヌの酷い仕打ちに必死に耐えてきたのだろう。私はなんて酷い女なのかしら?
あぁ、戻れるなら過去に戻りたいわ。でも、そんな事は出来ない。涙を流すアルフレッド様の頬をハンカチでぬぐい、私も彼を強く抱きしめた。まだ12歳だけれど、体を鍛えているためか、ガッチリしている。
お父様に認められる様、いつも必死に勉強や訓練に励んでいらっしゃるものね。それもこれも、クリスティーヌと一緒にこの家を支えて行くため。それなのにクリスティーヌの奴!て、つい怒りがクリスティーヌに向いてしまう。
「さあ、アルフレッド様、お父様が待っておりますわ。参りましょう」
少し落ち着いたアルフレッド様を連れ、お父様とお母様が待つ部屋へとやって来た。アルフレッド様と隣同士に座った。
「お父様、先ほどもお話しした通り、私はこの家を継ぎます。もちろん、アルフレッド様と一緒に。だから、王太子殿下の婚約者候補の話は、なかった事でお願いします」
満面の笑みでお父様にそう伝えた。
「私はそれで構わないのだが…一体一晩で何があったのだい?昨日はあれほど王太子殿下の婚約者候補になりたいと大騒ぎしていたではないか。それに…最近アルフレッドとの仲もギクシャクしていた様だが、今日は随分と仲良しだし…」
「あなた、クリスティーヌがそう言っているのですから、いいではありませんか。私はクリスティーヌとアルフレッド様がこの家を支えて行ってくれることが、何よりも嬉しいの。きっと天国のグレィーソン侯爵も、アリスティーナも喜んでいると思うわ」
お母様がそっと涙をぬぐっている。
「そうだな…クリスティーヌがそう決めたのなら、私はもう何も言わないよ。幸い王家にはまだ何も話していないし」
そう言って笑っているお父様。元々両親は、私とアルフレッド様を結婚させるつもりでいたのだ。その為、アルフレッド様は次期公爵になる為、お父様から色々と教わっている。それをカロイド殿下の美しさにノックアウトした私が、両親を強引にねじ伏せ、無理やり者候補になった。
だから両親にとっては、私がカロイド殿下を諦めてくれる方が、都合がいいのだろう。
「それじゃあ、本格的にお前たちの婚約の話も進めないとな。今まではクリスティーヌがもう少し待って欲しいと言っていたから、話が保留になっていたが」
「そうね、クリスティーヌの気持ちがまた変わらないうちに、話を進めていきましょう。いいわよね、クリスティーヌ」
「ええ、もちろんですわ。でも、確か婚約を正式に結べるのは、14歳になってからではなかったですか?」
そう、この国では子供の意思を尊重させるため、14歳にならないと婚約できない決まりになっているのだ。正し、王族のみに与えられている特権、婚約者候補には12歳からなれる様になっている。
その為、漫画では12歳のクリスティーヌが、カロイド殿下の婚約者候補になったのだ。
「そうだったわね。もう、別に本人たちが望むなら、年齢なんて関係なしに婚約を結べたらいいのに…本当に面倒な法律ね」
そう言って怒っているお母様。きっとまた私の気持ちが変わらないうちに、婚約を結んでおきたいと考えているのだろう。
でも前世の記憶を取り戻した今、どんなことが起きようと、私はアルフレッド様から離れるつもりはない。これだけは、はっきり言えるのだ。
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