信号待ちをしてたら突然背中を押されてよろめいた瞬間に大型トラックが鼻先を掠めた話でもする?

八幡寺

死ぬかと思ったよ…

「いやほんと、今でも思い出すと心臓がバクバク音を立てるよ。走馬灯見えたもんだって。ちっちゃい頃の俺って可愛かったんだなって思った」


「だれ目線の走馬灯見てんだよ」


「おばあちゃん。俺のあの目はおばあちゃんを見る目だった」


「家族によって見る目変えてたの? 幼少時代のお前こっわ」


「いやここ三、四週間前くらいの記憶だった」


「そんな直近の走馬灯見んのお前くらいだわ。あと家族をもっと平等に扱いなさい」


「こどもの頃の記憶ってそんなにないんだよね……。俺、生まれた時、呼吸無かったらしいし。あと退院直後に交通事故に遭って、なんとか名医に助けられたっぽい。両親は死んだんだけど。だから一人暮らしのおばあちゃんに、女手一つで育てられたんだよね」


「おばあちゃんを見る目って信頼と尊敬の眼差しやったん!」


「小学生の頃は週一で頭上から鈍器落ちて来てたし」


「死神に狙われてるんか?」


「まあいつも寸前で神回避してるんだけど」


「神様に愛されとるんか?」


「中学生の頃は八股したら皆から刺されかけたし」


「八股!!! あとしっかりこどもの頃の記憶あるやん!」


「まあでも……今が一番、危機一髪だぜ。なんせ、模擬戦じゃ一度も勝てなかったお前を……裏切り者として処理しなきゃならねえんだからな」


「安心しろ。……二度と心臓バクバクしないように、入念に殺してやるよ」


「ああ、俺たちの戦いは――!」


「これからだ!」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

信号待ちをしてたら突然背中を押されてよろめいた瞬間に大型トラックが鼻先を掠めた話でもする? 八幡寺 @pachimanzi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ