歌うコミュニティ-バス

Whitestar

第1話 - 歌うコミュニティ-バス

歌うコミュニティ-バス


皆さん、今日は歌うコミュニティ-バスの話をお届けしたいと思います。

ある村にコミュニティバスの運転手、ドヨさんが住んでいました。


「茶碗の中に住むリリさん。

夜になるとウサギに乗って

ぴょんぴょん跳ねて

お星様と挨拶を交わすんだって。」


ドヨさんの愉快な歌声は村人の心を楽しませてくれました。


今日も乗客が一人二人ずつコミュニティ-バスに乗り始めました。


「いらっしゃいませ。」


「何の歌を歌いましょうか?」


「カボチャとリスの歌を歌います。」


乗客もドヨさんも一緒に歌い始めたそうです。

ドヨさんのコミュニティ-バスは歌と一緒に走り始めました。

しかも甘い香りまで出しながらですね。

このコミュニティ-バスは歌で動く不思議なバスです。


みなさん。

ドヨさんの話をちょっとしますね。

ドヨさんは広い世界のあちこちを歩き回りながら貧しい人々を助ける世界で一番心優しい魔法使いです。

そうするうちにある日、この村に立ち寄りました。

ところで、ちょうど村に1台だけのコミュニティ-バスの運転手さんが年を取りすぎて到底運転ができないという事実を知りました。

ドヨさんはこの村に住みたいと思いました。

世の中のどこよりも美しいこの村が気に入りました。

行く先々で四季折々咲く花、ゆらゆら揺れる澄んだ青い小川、豊かな穀物がいっぱいの野原、このすべてがとても良かったからです。

しかし、最も重要な理由は村人のせいでした。

村人たちがどうしてそんなに優しくて親切なのか。


ドヨさんはここに住んでいて、コミュニティ-バスを運転することにしたそうです。

ドヨさんの頭の中にこんな考えが浮かびました。


「魔法の力で歌と共に走るコミュニティ-バスを作らなければならない。

歌と一緒にふわふわ浮かんでいるきれいな音符とポーズを作るといいよね?」



村の大人たちはトヨさんを嬉しく迎えてくれたし、幼い子供たちは好きでぴょんぴょん跳ねていました。


ウラッシャシャ仕事場に行くおじさんたちも、が-が-と農場に行く農夫たちもピーユーピーユー幼稚園に行く子供たちもドヨさんのコミュニティ-バスに乗ればわいわい騒いで歌うことがとても幸せでした。

うっかり降りなければならないところを通り過ぎてしまう人もいましたね。

それでも「ハハハ」って笑ってました。

さわやかな緑の葉っぱにつまったきらめく露がきらきら輝く朝。

丘の上に16分音符の形をした家が一軒ありましたが、まさにドヨさんの家です。

玄関のドアが開くとドヨさんが出てきました。

ドヨさんは新鮮な朝の空気を吸い込みながら伸びをした後、赤い郵便ポストの横に停めておいたコミュニティ-バスの横に近づきました。


「さあ、今日も一日を始めてみようか。」


その時誰かが突然現れました。

ニロとラス。

可愛らしい黄色い帽子と黄色い服を同じように着飾ったニロとラスは、ピーユーピーユー幼稚園に通う仲の良い友達です。


「おはようございます。」


「おはよう、みんな。」


「魔法使いのドヨおじさんの家がどんな形なのか知りたくて来てみました。

そうでしょう? ラス。」




ラスもうなずきました。

ドヨさんは子供たちが可愛くてひとしきり大声で笑いました。


「丘の上にある16分音符の形をした家がまさに私の家だ。 二つのしっぽを見なさい。 しっぽ一つに部屋が二つずつあるんだよ。 そして、柱のてっぺんが煙突だよね。 頭の部分には部屋が3つあり、玄関のドアがあるんだ。 私は音符が好きで、家を音符の形にしたの。 今度うちに遊びに来なさい。」


「我が家が高い音符だったらいいな。」


「私は4分のポーズが好き。」


「いやいや。 私は4分音符が好き。」


「全音符はくるくる転がっていけないよね?」


ニロとラスはドヨさんの家に遊びに行くつもりで心がふくらむ絶えずひそひそ話をしました。



「みんな、もう出発するんだけど、 どんな歌で始めたらいいかな?」


「ドヨおじさんが一番好きな歌を歌います。」


「ふむ。じゃあ木の葉の歌を歌おう。」


「青い空気を含んだ木の葉。

そよそよとした大気を包み込みながら

果てしなく伸びていくね。」


小さなお客さんが乗ったコミュニティ-バスは、ブルンブルンと音を立てて出発しました。



大人と子供が一緒に歌う楽しい歌声。

そして、バスの周りでふわふわ浮かんでいる美しい色の音符とポーズ。

その驚くべき光景は村人たちを驚かせ, ますます

幸せにしてくれました。


今日もコミュニティ-バスを運転しているドヨさん。


「ごほん!ごほん!」


ふと後ろから聞こえる咳の音。


「うん?うちの村で咳の音がするなんて?」


相次いで他の乗客も咳をし始めました。

道を行く人たちも咳をしました。

のど風邪はあっという間に町に広がり、みんな歌えなくなってしまいました。

歌声が聞こえないので村は索漠と変わってしまいました。

魔法使いのドヨさんは喉風邪をひかなかったが、村人たちが心配で理由が分からなくて一日中家の中に閉じこもって深い考えに浸っていました。


一日が過ぎて二日目になる日。

窓の外を眺めていたドヨさんは明るい笑みを浮かべていました。


「ニロ!ラス!うちに遊びに来たんだ。 早く入ってきなさい。」


ドヨさんとニロとラスは一番上の階の部屋に上がって丸いテーブルを囲んで座りました。

ニロとラスは、幼稚園のバッグから何かをいっぱい取り出して、テーブルにずらりと並べました。


「いや、ニロ!ラス!お前ら音符を集めていたのか?」


「はい。おじさん。低く浮いている音符は、私たちも掴むことができます。とても不思議できれいで集めておいたんです。ラスは私よりもっとたくさん集めたと思います。」


「いや、ニロ。 君が走り回りながらもっと一生懸命捕まえたじゃないか。」


ニロとラスの顔が急に深刻な表情に変わり、


「おじさんに言いたいことがあって来ました。」




ここはニロの家。

ニロとラスはこれまで集めておいた音符とポーズを持って遊んでいました。


‘ぱん’


音がして4分音符が一つ落ちたんですが

近くにいたニロの子犬トトが走ってきたら4分音符を食べてしまいました。


「トト、それを食べたらどうするの?」


トトは最近元気がないのかご飯もあまり食べないしニロとあまり遊んでくれなくて心配していたところでした。

さて、これはどういうことでしょうか?


「ワンワン!ワンワン!」


トトが元気よく吠えながら走り回ります。


「え?トトが急に元気が出るみたい。」


「ニロ。もしかしてドヨおじさんが作った4分音符を食べたからかな?」


「ラス、本当? それなら私たちも......。」


ニロとラスは同時に音符を一つずつ取って口にすっぽり入れました。

こんなに香ばしくてさっぱりして甘い味だなんて。

ニロとラスは喉風邪がするすると消えたことに気づきました。





ニロとラスの話を聞いたドヨさんは手をたたきながらぱっと起きました。


「しまった!なんで知らなかったんだろう? 清らかで純粋な子供の心と歌で作った音符と

ポーズが互いに通じるという事実を。」


町で歌えるのはドヨさんとニロ、ラスだけでした。

3人は多くの音符とポーズを作るためにコミュニティ-バスに向かって力強く走っていきました。

バスの周りをうろついている黒い帽子と黒いマントの男は誰だろうか?

それにさっと振りまいているあの黒い粉は何だろう?

魔法使いのドヨさんは感じることができました。


「あの黒い粉が村に広がったのど風邪と関係があるだろう。 あの者が犯人に違いない。」


ドヨさんは怪しい男の首をさっと抱え込み、ニロとラスは足にぶら下がりました。

怪しい男はもがいて地面に仰向けになってしまいました。




ドヨさんとニロとラスは歌い始め、音符とポーズがバスの中でもバスの外でもふわふわと浮いてきました。

今日は音符とポーズが特にたくさんできたように感じますね。

ドヨさんは走るマコミュニティ-バスの窓を大きく開けて叫びました。


「皆さん、早く音符とポーズを集めてください。」


道にいた人たちも小川にいた人たちも職場にいた人たちもみんな一生懸命音符を集めました。

バスを降りたドヨさんとニロとラス。


「3人はどうして喉風邪をひかなかったんですか?」


村人たちは皆気になっていました。

ニロの父親が怪しい男を引っ張ってきました。

怪しい男がついに口を開きました。


「私は意地悪な魔法使いトゥピです。 魔法を習いましたが、あまり不思議な才能はありません。 歌うコミュニティ-バスの話を聞いて 歌を歌わせないように 黒い粉を撒いて喉風邪をまき散らしたのです。 悪いことをしたのは分かるけど、今もずっと意地悪をしたくて···。」



大人たちは舌打ちをし、子供たちはくすくす笑っていました。



「皆さんが集めた音符やポーズを食べてみてください。 子供のきれいな心が皆さんの喉風邪を治すでしょう。」


村人たちは誰もが集めておいた音符やポーズの中で気に入ったものを選んで食べてみました。

ニロとラスが感じたその味をみんな感じることができました。

トトも感じたようなその味を。

香り高く爽やかで甘い神秘的なその味。

村人たちののど風邪は洗ったように治り、みんなうれしくて歓声を上げながらリズムに乗って踊りました。

たった一人。

片隅できょろきょろと眺めているトゥピ。

この時、ニロが8分のポーズをトゥピに突然差し出しました。


「私にくれるの?」


「トゥピおじさんもどうぞ食べてみてください。」


8分のポーズを食べた後のトゥピの顔。

村人たちはびっくりしました。

意地悪でいっぱいだったトゥピの顔があまりにも柔らかくなったからです。

ドヨさんの話をすべて聞いた村人たちは大人も子供も関係なくそして誰が先なのかもしれないけど、 喜びに満ちた声で大きく叫んだそうです。


「ドヨさん!ありがとうございます。 ニロ!ラス!ありがとう。 トトもありがとう。」


みなさん。

裏話をします。

トゥピおじさんもこの村に住むようになりました。

もう村には優しい魔法使いのおじさんが二人も来たから毎日が面白くて活気に満ちて幸せが溢れ出しそうですね。

今日も歌うコミュニティ-バスは、歌を積んで力強く走ります。


「ブルン、ブルン、ブルン」


子供の皆さんも歌うコミュニティ-バスに乗りたければ何の歌を歌おうか考えておいてください。

-おしまい-

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