瑠璃色の世界でもう一度
ryuki
第1話 僕。まだ、S〇Xしてない。
「僕。まだ、sexしてない」
主治医は、笑わなかった。
人生からの独立宣言。
約10年続いた闘病生活は、意外と呆気なく終わる。
あれほど嫌だった薬も、もう飲まなくていいらしい。いわゆる最後の治療だ。
幸か不幸か僕に親族はいない。
両親は、交通事故で亡くなった。
生きていれば涙を流してくれただろうか。
僕も、もうじき死ぬ。
「はぁ、、」
心の不安が少し溢れた。
初めてかもしれない、これほどの不安に駆られるのは。
いずれ死ぬのは知っている。
だけど、
「はぁ、、」
大きいため息がもれる
3階の角部屋
季節は、新年を迎えようとしている。
窓から見える風景は今年もさほどかわらない
(落ち込んでいてもしかたがない)
延命治療の為に飲んでいた薬を辞めたせいか
体はもう痛くない
どこが痛かったのかも忘れた。
(気分転換にゲームでもしよう)
携帯アプリのランキングを流し見する
「キャラメイクは、無限大!!」
安っぽい売り文句が目に止まった。
キャラメイクするだけのアプリらしい。
"なんかいいな"
それだけの理由でそのアプリをインストールした。
「えーと、、これをこうして」
アプリを開く
いきなりキャラメイクの画面が出てきた。
女の子or男の子
究極の2択だが
わざわざ男の育成なんてやってられない。
自分だけで十分だ。
女の子【決定】
そこから先は、時間を忘れ理想を求めてキャラメイクに時間をかけた、、
病室に、就寝時刻を知らせる館内放送が響く。
気づけば3時間ほど過ぎていた。
指が痺れてヒリヒリする。
「おお、」
その甲斐もあってか、納得のゆく完成度におもわず声が漏れた。
中性的なおももちで
目鼻立ちは、完璧で美しい。
腰まで伸びた髪は艶があり、
紅い唇は魔性にも微笑みかけてくる。
だが、何といっても特徴的なのが
その背丈である。
180cmに設定した身長により、スタイルの良さが引き立っている。
肉付きも良く、出るところはしっかし出ている。
上から見下ろされる感覚は
透き通る白い肌と魅力があいまって男を惑わす堕天使のようだ。
正面から見ても
横から見ても
下から見ても惚れ惚れするほどの美貌である。
久しぶりの達成感と共に疲労感が体を満たした。
視界が揺らぐ、、
少し眠りにつくことにする。
いつもより寝つきがよい
「また、あとで……」
思考は暗く深く沈んでゆく
闇へと落ちる間際なんとなく
神様に願った。
(この人生にボーナスステージがあるのなら……)
アプリ画面が切り替わる。
ーーlog.logーー
【瑠璃色の世界でもう一度】
「強く生きたい」
________________ Re:start________________
『記憶を削除しました』
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