高校生探索者の俺、ダンジョンで有名配信者(クラスメイト)を助けて有名になる

時雨古鷹

第1話

《麒麟視点》


 俺の名前は宇喜多麒麟うきたきりん。東京の高校に通う入学したての一年生だ。趣味はダンジョン配信を見ること。

 ダンジョンは探索者と呼ばれる人たちしか基本的に入ることができない場所だ。ダンジョン配信は読んで字のごとくダンジョン内で配信することだ。

 ちなみに探索者ギルドという異世界にあるようなギルドがありランク制になっている。ちなみに俺も探索者の資格を持っていてランクはこの世界に5人しかいないSランクになっている。

 俺は配信をしようと思ったことはないが同じクラスメイトの下釜鈴しもがますずは日本でトップクラスのダンジョン配信者でランクはBになる。

 そんな彼女の配信アーカイブを見ることが俺の日課でいちおうコメントもしている。別に認知してもらいたいとかはない。なぜなら彼女の登録者は500万人いるからだ。


「さてさっさとドラゴン倒してかえりますかね‼」


 俺はそんな気合を入れてダンジョンに潜った。ちなみになんでドラゴンを倒すのかというとギルドから見たことのないドラゴンが中層をうろついてるから討伐してほしいと依頼されたからだ。

 ドラゴン自体はそこまで珍しくはない。下位種族のワイバーンはBランク探索者でもがんばれば倒せる。ドラゴンにしてもAランクの複数人パーティーで倒すことができる。

 それならAランクにたのめばいいと思うだろうがギルドがSランクに依頼した理由は規格外だったからだ。


「こちらは普通の高校生だってんのになぁ」


 俺がそう口にしたとたん女性の悲鳴が聞こえてきた。ワンテンポ遅れてドラゴン種と思われる咆哮も聞こえてきた。

 それを聞いた俺は迷わず悲鳴が聞こえたほうへ全力疾走していった


《三人称視点》


 日本でも有名なダンジョン配信者、鈴は学校終わりにダンジョンにきて配信を始めた。


「みんなー、今日も楽しくダンジョン配信の時間だよー‼」


 明るい声とともに始まった配信だったが突如として爆発が起こった。


・配信楽しみにしてたよー

・なんだこの爆発は…‼

・鈴ちゃん大丈夫⁉


 そんなコメントが流れる中煙が晴れ姿を現したのは真っ白なドラゴンだった。鈴はドラゴンを認識した瞬間に自分の死を悟り泣きながらつぶやく。


「なん、で…。中層にドラゴンが…いるの。私…まだ死にたくない…誰か、誰かぁぁぁ‼」


・鈴ちゃんにげて‼

・誰も君の死ぬところなんて見たくないよ

・なんで下層以降にいるはずのドラゴンがこんなとこにいるんだ。

・俺、家がギルドの近くだから急いで見せに行ったらただのドラゴンじゃないって言われたぞ

・そしたら新種なのか!

・そういうことらしい


 早くも鈴の配信を見ていた人たちが騒ぎ出す。同接が8万なのでそれだけ多くの視聴者にこの状況が配信されている。


「私まだ…高校生になったばっかりなのに…うわぁぁぁぁぁぁぁん‼」


・安心して鈴ちゃん。ギルドによると日本に一人しかいないSランク探索者に依頼出して向かわせたらしい。それまで耐えきれば生きられるよ‼

・向かわせたって言ってもここ中層だぞ‼いくらSランクだからって一時間はかかるぜ


 そんなコメントが流れるのをお構いなしにドラゴンは腕を振り上げた。

 鈴は茫然と腰を抜かしており食らえばあの世行き確定だ。そんな光景を見ながら私は絶望に打ちひしがれ目をつぶった。

 しかし攻撃は届かない。キンッっという音がしたと思ったら衝撃波が鈴を襲った。体が吹き飛ばされたが誰かに受け止められているのがわかった。


「もう大丈夫だ。ドラゴンは俺が倒す」


 聞いたことがある声だと思い目を開けると鈴のクラスメイトで比較的陰キャの宇喜多麒麟がいた。


・救世主キターーーーーー‼

・間に合ってよかったー!


 そんなコメントが流れる中鈴はどうして陰キャの麒麟がいるのか分からなかった。


「もしかして麒麟…くん?」


「あぁ、お前は…噓だろ⁉下釜じゃねぇか。よかった、まにあって」


 そんな声をきいた鈴はもし麒麟が間に合ってなかったら自分が殺される瞬間を視聴者に見せることになったと思って生きていることに安どして涙が出た。


《麒麟視点》


 俺は泣いている下釜に向かって安心させるために言った。


「安心しろ下釜、お前は死なせやしない。お前の配信を見ている視聴者の為にも」


 カメラがあることを確認していた俺はちょっとカッコつけてそんなことを言い目の前のドラゴンに向き合った。

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