よみがえり

@szKashiwazaki

明子がこの世を去ってから半年が経った。

 孤独な日々に耐えかねて、私はついに黒魔術に頼ることにした。古書店で買った怪しげな本に従い、お香を焚き、ロウソクを並べ、魔方陣を描き、その中央に明子が生前使っていたハンカチを落とすと、魔方陣は俄に輝き出した。その光があんまり強いのでたまらず目を覆った。徐々に光は収まり、顔を上げてみると、なんということだろう、明子が立っているではないか。

「明子!」

「あんたが私を呼び出したの?」

「ああそうだ。会いたかったよ明子……」

「まったくもう、あんたの寂しがり屋には困ったものね」 

 その後、再会の挨拶もほどほどに、私はかねてよりの疑問をぶつけることにした。

「ところで、死後の世界はどんなところだった」

「何言ってるの。そんなすぐ死ぬわけ無いじゃない。生後半年だったのよ」

「ああ、それもそうか」

 そうなのだ。私達がいるこの生前、つまり生まれる前の世界では、半年もすれば大抵の者が次に進む。ところが、生後の世界では平均して八十年は留まるという。なんとも気の遠くなる話である。

「せっかく良さげな親に当たったのに、また一からやり直しだわ」

「すまんすまん」

「というかあんた、まだ生まれてなかったの」

「いや、色々受けているんだけど、なかなか決まらなくてね……」

終わり

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