トライアンフ!
アヒージョ
第1話『ある朝に』
宮田翔太は、両親が殺害された日の夢を見た。
それは中学3年生の時であった。
その日、両親はどちらも休みで、いつものように家に帰り、ただいまと言ったが返事が返ってこない。
いつもなら母さんの声が聞こえるのに、それに今日は父さんが休みだから家にいるはずなのにと不審に思いながら、リビングに入ると、頭が真っ白になった。
二人が額に穴が開き、血を流していた。
それを見た翔太は頭が真っ白になった。
その悪夢から逃れるかのように翔太は目を覚ました。
冬ではあったが汗が体とシャツをくっつけていて気持ち悪かったのでとりあえずシャワーを浴びることにした。
どうも最近体に疲れがたまる、何かがオレについているのかそんな考えが少し頭によぎった。
とりあえず学校に行く準備して、家を出た。
翔太のクラス1年6組の教室に入ると、そこにいた生徒たちは翔太の方を見た。
翔太は普段、ろくに学校へ行っていなかったのだ。
カバンを机に置くと、翔太の前の席にいた丸坊主でサングラスをかけたヤンキーが、話しかけてくる。
「宮田くーん、久しぶりに学校に来たねー。」
「あぁ、単位がやばいんでな。」
面倒くさそうに、翔太は返事をした。
「なーんか、素っ気ない態度だなー」
翔太の制服のネクタイを掴み、額を近づける。
「そういえば、あの事件の犯人まだ捕まってないんだろう?お前がやったんじゃないのか?」
ヤンキーはからかうように少し笑みを浮かべながら言った。
ふざけるな!翔太がヤンキーを殴ろうと腕をあげた瞬間だった。
「翔太!やめて!」
その腕を誰かがつかんだのである。
それは翔太のかつての親友だった柿岡心だった。
腕を放せ!自分を見失った翔太は叫んだ。
もはや周りは見えていなかった。
キンコーンカンコーンとチャイムの音が鳴る。
教室の前のドアの開く音が聞こえたとき、ヤンキーは突き放すように、翔太のネクタイを開放した。
起立と学級委員の声が聞こえた。
まだ、翔太はこの時知らなかった。
今日、この日から人生の変わる出会いがあることを……。
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