第10話
「な・・・なによ今のはぁ!」
ビクンビクンと、身体が時より跳ねる様に痙攣しているディーラ。
身体に薄っすらと模様が描かれてる。
雷の魔法を食らうと大体こうなる。
脳の電気信号で動いていて、更に人間の大半は水で出来てるわ。
だから当然の結果。
ドラゴンフライは止める間合いは発動前に調整できる。
魔術師のほとんどがドラゴンフライなんて食らってもすぐに治癒してしまうため、あまり使いどころがないけど、この国は剣士の国だから出来た。
「貴女の負けよディーラ。私は、貴女の首を飛ばせばこれで終了」
「ふざけないでこの魔女がぁあああ!」
「さようならディーラ」
私はそっと彼女の首を刺そうとした。
しかし次の瞬間、彼女の足が私の顔に迫りくる。
「ッ!?」
「くそアマが!魔女風情が私の首を取る?戯言を抜かすんじゃないわよ!」
「すごい変わりようね。そんなにドラゴンフライ、気持ちよかったかしら?」
これが本来の彼女なのかしら?
流石に驚いたわ。
もうあと首を取るだけだったのに。
彼女はさっきまで痙攣してたとは思えないわね。
でも彼女は自分を治療してる。
身体にある火傷の模様がなくなっていく。
「屈辱よ!私は剣婦である前に貴族令嬢よ!これで嫁の貰い手ができなかったら責任取りなさいよ!」
「ごめんなさいね。私はそっちの趣味はないの」
「てめぇえええええええええ!」
いい感じに乱れてるけど、治療できるのだとしたら分散の剣術を何とかしないといけないわ。
まったく振り出しじゃないの。
それに戦闘が長引けば、ほかの追手が来る可能性もある。
彼女のバックに誰がいるかは知らないけど、いくら剣婦といっても小娘一人にこんな重大な仕事をさせるとは思えないわ。
「精霊よ、海の難敵を穿て」
「大気を翔けて焔よ穿て!」
グレンとグンジョの魔法がディーラへと放たれた。
ウォーターランスと、フレイムランス。
氷と炎の槍は二人のコンビネーションになる。
魔法が融合して、一つの大きな槍になった。
錯乱している今なら攻撃が通るかもしれない。
「このくそ魔術師風情が!私にそんな攻撃が通ると思ったのかしらぁ!」
ディーラはあの大きな槍を吹き飛ばしてしまった。
反応は大して変わらないわね。
錯乱していたとしても、思考は冷静ってことかしら?
「こうなったらもう魔力切れまで攻撃をし続けるしかないわね」
「同感だ、グン兄も大丈夫か?」
「精霊たちに負担を強いるな。許せみんな」
私はまだまだ魔力が残ってるけど、精霊を介して行使する精霊魔法使いには物量作戦はあまりよくないわね。
ここは私とグレンで何とか攻めるべきかしら?
「はぁ・・・はぁ・・・この逆賊が・・・・」
ディーラの息が切れてる?
そういえば、最初に魔法を放った時も息を切らしてた。
本来ならおかしいわ。
もしかして。
「まさか、回復と無限の体力は両立できない?それも切り替えを行うにはタイムラグがあるわね?」
「ッ!?」
この闘いで一番顔色を変えたわね。
つまりこの予想は正しかったってこと。
「おい、ルル」
「わかってるわ。今がチャンス!」
私はホーネットとハクビシンを繰り返し放つ。
グレンとグンジョーも同じようにある程度距離を取って魔法を放った。
「はぁ・・・はぁ・・・うっとぉ・・・しい・・・わね!」
「魔法は分散させられてるけど、剣を振るう度に体力がなくなってきてる。グレン、グンジョー、攻撃の手は緩めないでよ!」
「わかってらぁ!大気に眠る焔を示せ!」
「当然です!精霊よ、逆巻く飛沫を、ばら撒きたまえ!」
グレンの決して無視できない威力の中級魔法ガンマに、グンジョーの大気の水をすごい勢いで射出させる手数のウォータースプレッド。
そして私の追尾するホーネットを全て捌いていたら、それだけ貴女は消耗する。
「理由はわからないけど、貴女体力は無尽蔵ではないわね」
「はぁ・・・はぁ・・・そんなわけ・・ないでしょ!」
「強がりだけじゃ、状況を打開なんてとてもじゃないけど無理よ」
「打開?・・・ふふっ・・まだ私は・・余裕を残してるわよ!」
迫り来る魔法に対して、舞踊の衣の仕込み刃で撃ち落としてくが、それは悪手だわ。
何故ならそんなのすぐに体力を全て失うから。
案の定捌ききれなくなったわね。
魔法がどんどん命中していく。
一応舞踊の衣は無傷だけど、あれはあくまでドレスの形をしてる。
つまり剥き出しになってる部位は多い。
「乙女の顔に・・・なんてことするのよ」
「回復なんかしてないで、無限の体力でいた方がよかったのにね」
「ほざくな魔女が!魔法なんて得体の知れない物を使いやがって!死ねぇ!」
等々彼女は投げやりに自身の剣を投げつけてくる。
流石にその程度の剣は避けれないわけじゃない。
けど今後帝国に追われる身として知っておきたいことがある。
私はナイフの柄の部分を剣に掠らせた。
「手から離れてたら分散しない。少なくとも分散は技量面ってことなのね。付与された魔法みたいなのが付いてるとならどれほど良かったか」
「はぁ・・・はぁ・・・」
「疲れてるわね。これで楽になるといいわ」
私は彼女の眉間に圧縮したハクビシンを放った。
彼女は少し身体が跳ねた後、白目を剥いてそのまま目の前に倒れ伏した。
「これで本当に終わりよ」
「やった、のか?」
何かよくないような台詞をグレンは言ったけど、ディーラがそのまま立ち上がることはなかった。
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