21 中学一年生 秋

 夏休み明けから私は、今まで以上に色々なことへ前向きに、努めて明るく取り組むように心掛けていた。


 メグの言っていた言葉、「間違った行動をしてしまうかもしれない自分を受け入れる」その言葉に大きな影響を受けていた。本来の自分からしたら、色々な大きさの背伸びをしていたと思う。



 秋の運動会が近づいていた。クラス対抗のリレーでは、彼とバトン交換をする組み合わせになっている。きっかけは何度もあった。けれど、あと少しの勇気が出なかった。


 前向きを心掛けていたとはいえ、全てにおいてそれを実行できていたわけでは無い。だから、得意と思える分野の行動については、全力で取り組むようにしていた。


 もしかしたら、それが意図せぬ方向に向かってしまい、誰かに嫌な思いをさせてしまうことがあるのかもしれない。


 でもそれは、今現在の私には、まだわかりえないことだった。


 今はただ、自分が正しいと思えることに、素直に行動するしかない。後になって間違っていたかもしれないと思ったら、それを繰り返さないようにする。それしかできなかった。


 彼はこの運動会を境に、目立った行動をとらなくなってしまったように感じていた。


 けれど、彼の心の中にある想いをみ取ってあげられるほど、私は成熟していなかった。


 ただ、あの頃の私がそうであったように、嫌な思いをするくらいなら大人しく静かにしていようといった想いが、その要因となっていないことを祈るしかなかった。

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