12 演説会
演説会当日、会場となる体育館は昼休みを利用して、その準備が行われていた。
僕たち一般の生徒は、折り畳み椅子をそれぞれ自分の
彼女も
テーブルの位置が決まると、候補者たちは一度
それぞれの候補者が自分の着席するテーブル前面に、そのポスター用紙を貼り付けていく。彼女も同様にポスター用紙を持って、貼り付ける様子が
テーブルの前にかがむようにポスター用紙を張り終えると、彼女は自分の候補者名が書かれた座席へと、テーブルを回り込むように移動して着席した。
彼女の名を記したその文字は、やや
他の候補者の文字は、カラフルに
文字を使った候補者の
それに引き換え、彼女の前に
ただ、これまで彼女がこの生徒会に向けて活動してきた姿勢や、僕の勝手な想像からくる印象を、そのつつましやかな明朝体は、とても正確に表しているように思われた。
候補者のことを、
僕は、体が熱くなるのを感じていた。
使ってくれた。
彼女が僕のポスター用紙を選んでくれた。
決して
嬉しいとか、恥ずかしいとか、安心したとか、そういった感情がごちゃまぜになって、言葉では上手く表現できない、不思議な感覚に包まれていた。
使ってくれた。本当にそれが嬉しかった。
僕は彼女に、ようやく恩返しができたような、そんな気持ちを
第一章 了
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