2#なっちにしがみついたものは?

 「なっち、知ってる?ニュースで知ったんだけど、この辺に遠くの山から大きなイノシシが出没したんだってね。

 怖いわーー!!

 気を付けようね。なっち?」


 何時もの街を、飼い主と日課の散歩をしている時、飼い主が私に話した。


 イノシシ?何それ?楽しいの????


 私は飼い主の言っていた『イノシシ』という物がどうなのか解らなったが、『イノシシ』というものにお目にかかりたい等とおもってたり。


 もしかしたら『イノシシ』って、これ?


 「なっち!!また何しがみついてるの?!」




 ぷしゅ〜〜〜〜〜〜〜



 私の思わずしがみついたのは、店に宣伝で飾ってあった風船人形だった。


 私が爪を立てて噛みついた為に、風船人形が破けて空気が抜けてしまったのだ。


 私は、店員にペコペコと謝っている飼い主を見て、あれは『イノシシ』ではない事を悟った。


 「なっち!!また何か抱きついて壊したら、当分ドッグフードは抜きだからね!!」


 あいすいません、飼い主さん。

    

 といいつつ、今度は向こうからドドドドドドドドドドドドドドド!!!!と土煙上げて迫ってくる奴が・・・?

 

 うわーーー!!何これ?!


 本能か本心か私は、鼻から物凄い鼻息を吹き出して目の前に迫ってきた奴に、急に身体が動いてしっかと抱きつきた。


 「わーーーーっ!!イノシシ!!なっち!!」


 『イノシシ』?!これが『イノシシ』?!


 私の首輪のリードを手から離れて、「なっちーーーー!!イノシシから降りてぇーーー!!」と叫ぶ声が、ドッペルゲンガーのように直ぐ遥かな向こうに行ってしまった。


 そう、私は『イノシシ』に抱きついている。


 そして、私はこの猛スピードをあげて走る『イノシシ』から降りられなくなっている。


 私、危機一髪ぅぅぅぅーー?!!!!!

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