復讐の果てに

@gurin63

序章

 ガシャーーーン!!!と大きな音がした。


『またかよ。』心の中でそう呟いたつもりが、声に出していた。


『誰だ?またかよ!って言ったやつは!あ??舐めてんのか?』


『やめてください…涙』


 やつれきった、涙声で言うのは母親だ。


『うるせぇな!お前は黙ってろ!!!』


 ガシャーン!!!


 まただよ。今度は声にはならなかった。


『で、誰だ?さっきまたって言ったやつは?』


 言ったのは僕だ。毎日の父親の暴力に、声が出てしまった。

 だが、ここでいつも出てくるのは決まってる。


『俺だよ!俺が言った!いつもいつも暴れてみっともないと思わない?』


 そう、僕の兄貴だ。いつだって僕を助けてくれる。僕が父に暴力を受けていても、間に入って守ってくれる。

 兄貴はいつも言ってくれた。『必ず俺がお前を守ってやるからな。』

 優しい兄貴だ。

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