第2話 天使様曰く

それからどうやって自宅に戻ってきたのか。

天使様にテレポートして貰った。

狭い六畳一間で、うらぶれた男やもめの部屋に天使様がいる姿は非日常を感じる。

「で、そのバランサーって何 ? 俺の死が何に関係するって? 」

「えぇっとですねえ……」

「早く言え」

「……し、知らないのです! ! 私はこんな可愛く美しいのに末端の天使なので! 詳しい話は教えてもらってないのです! !」

天使様はどやあと胸を張り、そう言い切りやがった。

「……死ぬか」

俺が窓を開けて今にもダイブしようとしたら、渾身の力で抱きつかれた。

「ダメですってばあああ! ! 死んじゃダメですようう! !」

「うるせー! !耳元で騒ぐな!! 」

しゅんと項垂れつつも羽交い締めにする力は強く、俺は窓から離された。


「はあ……秘密ならさ、お前何が出来んの? 宝くじ当てたりとか出来るの? 」

「えーと……」

「死のう」

「だから死んじゃダメなんですってばあ!!宝くじ当てたことはないだけですからあーーー! ! 」

「いちいちしがみつくな! !なら何が出来るんだ? 」

「えっと、お料理できます! 冷蔵庫はいけーんって!お酒しかないじゃないですか!どうやって生きてきたんですか! ! 」

買い物行きましょ! ! と騒ぐ天使様にうんざりしながら、羽とかはどうすんだと声をかけたら、ふふんと胸を張り、途端天使様が光に包まれた。


現れたのはかなりの美少女で、「これなら地上の人に見えるでしょう? 」と宣うのを思い切り頭をはたいてやった。

「つまりか、お前は俺に取り憑くと? 」

「取り憑くって悪魔じゃあるまいし! 前言撤回を求めます! !」

痛いですよう、と涙目になる天使様に深いため息を吐いて、似たようなもんだと呟いた。



えーと、今日から天使様が俺にとりつくらしいです。

買い物行く気満々なのは、ついてかないと行けないんだろうな……。

「さて、出かけますか」

窓から身をを乗り出す天使様に、お前今人間の姿だろうが、と突っ込んでやった。

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