あなたは死なせちゃダメなんですから!!と超絶可愛い天使様は言った

ミハナ

第1話 もうダメだ

冴えないリーマンである俺はめでたく100社目の会社から首を切られたとこだった。

ふらりと足が赴いたのは電車のホーム。

もう、生きる気力もない。

妻も取れない人生だった、悔いばかりが残るのはしょうがないだろう。

おめおめと生き延びで101回目の再就職もしたくない。

人生を辞めてやる。

神なんて、いなかったんだ。

ふらりと足が自然と動く。

いつもJRは人身事故で止まってんだ、俺が飛び込んだぐらい、なんでもないさ。

また疲れたサラリーマンの飛び込みがありました、とかさらっとニュースで流れて、芸能人の恋愛事情に押し流されていくんだ。



ああ、くだらない人生だった。

でもこれでおわりだ。


ふらりふらりと電車のホームに近づく。

迫る電車はもうすぐだ。

周りの声も聞こえない、


ぐっばい、くだらない人生よ。



身を投げる時、何か強い力に引っ張られた気がしたーーー。







「ああんもう! ! あなたは死んじゃダメなんですってば! ! ! ! 」





グイッと引っ張られた先、温かな温もりと柔らかな感覚に目を見開いた。

見たこともない、豊満なおっぱいに顔を押し付けられて、声がした方を見れば。


艶やかな真っ白い翼に、金の髪、蒼い瞳をした、天使としか呼べない物体がそこにいた。



「……は? 」

「もうもう、あなたは全世界のバランサーで、死んじゃいけない人なんですよう! 分かりましたか? 」


慌てて周りを見てみたら、何もかもが止まっていた。

迫り来る電車も、周りで騒ぐ人も、時計も何もかも。

「どうなってんだ、死後の世界か、ここは」

「だから死んでないですってば! 」

わかりましたか? と顔を覗き込む天使ははちゃめちゃに可愛い。

だからこそ分かるわけがない。

「どうやら、あなたは死の気が出てますが、このわたしが来たからには死なせないですからね! !なにからも守ってみせます! むん!やりますよ〜! !」



どうやらこの天使は俺を死から守る存在らしい。

そんなのはクソッタレなんだが。


「頼むから死なせてくれ……」



ぶらん、と天使に捕まったまま、呟くしか出来なかった。

危機一髪で命拾いしやがったことだけは、伝わった。

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