シンデレラ、というコードネームで「お仕事」をする女性の、その「お仕事」の一幕が描かれた作品です。
凝っていそうな背景や設定の説明に文字を費やさずとも、現状を語る上で必要最低限の情報が鮮やかになっていくような描き方がなされています。
それが、作品の舞台と非常によく合い、硬質かつ緊張感ある雰囲気を演出することに繋がっているなと思います。
また、心情描写を極力抑えているような文体もハードボイルドで、物語の性格を反映しているように感じられました。
何より、語り手が「シンデレラ」と分かった時の物語の吸引力が、とてもいいです。
銃とドレスを着た若い女性、というある種のミスマッチから醸し出される魅力に、非常に雰囲気があります。
この辺り、服装の説明をせずとも、ドレスを瞬時に連想させるところもとてもお上手だし、良かったと思います。
舞台、物語、文体が、抜群の相性で噛み合っていて、短い中にも緊張、高揚感、カタルシス、そして、キャラクターの関係に、抑えた表現だからこその微かな萌えも感じるような、贅沢な作品でした。