【創作フェス】危機一髪

この美のこ

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 年の差カップルの翼(24歳)と澪(38歳)の共通の趣味は、謎トレに挑戦すること。

近くにリアル脱出ゲームが楽しめる店がオープンしたので、2人は早速行ってみることにした。


 貸切制になっていて、仲間同士はもちろん、カップルや同僚と協力して遊べるため、デートやチームビルディングを目的とした利用もできる。

実際に部屋に閉じ込められ、部屋の中にあるアイテムや情報を自分自身で見つけ出し、組み合わせて謎を解いて脱出を目指し、頭や体を動かしながら謎解きを楽しめる。

各テーマ、それぞれの特徴・難易度があり、自分に合った無理にないテーマを選ぶこともできる。


 翼と澪は初めての挑戦ということもあり初心者向けのテーマを選ぶことにした。

数字が得意な翼と四字熟語が得意な澪は、謎解き数字と謎解き四字熟語の含まれたテーマを選んだ。


「なんかワクワするね」と澪。

「テンション上がって来た」と翼。

翼と澪はやる気満々で部屋の中に入って行った。


 部屋に入って行くと、そこには閉ざされた空間があった。

中央には大きなテーブルがありいくつかの箱があったり、壁にも色々な絵などが飾られている。

一か所の壁にはスクリーンがあり、そのスクリーンから司会者の説明が始まった。

『ようこそ、リアル脱出ゲームへ。このリアル脱出ゲームで最も重要なものは数学の知識や運動神経や怪力ではなくひらめきです。ひらめきには初心者、経験者に差はありません。初めての方がいきなり脱出することも可能です。どうぞ最初から存分に閃いてください。制限時間は1時間。部屋から抜け出す鍵を探して脱出しましょう。それではリアル脱出ゲームをお楽しみ下さい。成功を祈っています。まずは机の上の紙に書いてある問題を解いてください。』

スクリーンから司会者が消えて、制限時間の表示が現れた。

60:00から1秒ごとにカウントダウンが始まった。


 翼と澪は途端に緊張感を感じてきた。

「机の上?」

「あっ!あれだ」

机の上には紙切れがあった。


※問題1

14/26 15/26 20/26 15/26


紙にはこんな数字が書かれていた。


「えぇ~、なにこれ?ねえ、ツッチー(翼の愛称)わかる?」

「え~と、まてよ、閃け!閃け!分母の26がきっとポイントだと思うんだけどなぁ」

「26?」

「わかった!もしかしたら26と言えばアルファベットじゃないか?とすれば、分子の数字はひょっとしたらアルファベットをAから順番に数えてあてはめたらどうかな?」

「そっかぁ、ツッチーさすが!となると14番目は何?」

翼は指を折って数え始めた。

「ABCD……LMN、あっ!Nだ!」

そう言ってそばに置いてあるメモ帳にボールペンで書いていった。

14/26 はN 15/26はO  20/26はT  15/26はO

翼と澪が協力してアルファベットの順番を数えていった結果、NOTOと言う言葉が浮かび上がった。

「「ノート!!」」

二人は一斉に叫んだ。


「じゃあ今度は、ノートを探せってことかな?」

「かもね。なんか面白くなってきた。ノート!ノート!」

こうして二人はノートを探し始めた。


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