第2話

 ●月×日


 私はまたしても赤線の輩に住処を奪われた。最近はうえの監視の目がさらに厳しくなったと言われているけれど、あれは眉唾物なのでしょう。いつものように力で追い出され、仕方なく新天地を探すしかない。


 日光に当たりたかった。日光は素晴らしい。いかにうえと言えど真の上たる天に逆らうことはできない。私たちも同様だ。そんな絶対的な光を浴びているとき、私は世界に愛されていると思うことができる。


 ちょうどいい場所がそこにあった。ひと一人なら余裕で乗っかれる大きな石。私は其処によじ登り、恵みの光を甘んじて受け入れる。ああ、幸福だ。今日も天は今日も私に愛を向けるのだ。


 私の恍惚を邪魔するようにちゃぽりと音がした。何事だろうかと音の方向を見ると、水面から頭がちょこりと出ていた。同種ではないが、赤線ではない。私達のそっくりさんの種類だろう。

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