第二十三話 獄炎に抱かれて
アラタは炎に抱かれた。
真っ黒な炎に。
そのまま地面に落下した。
炎に抱かれてアラタは、地面に飛散し、それでもなお炎は消えなかった。
「くそガァァァァアアアアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
痛みのままにアラタは吠える。
何度も再生と燃焼を繰り返す肉体は、まるで不死鳥のように何度も蘇った。
アラタは痛みにのたうち回りながら、そのまま半年をそうして過ごした。
そのたびにクソ閻魔への怒りを胸に募らせていった。
アラタはひたすらに魔力を練り上げて炎を吹き散らそうとした。しかしダメだった。黒炎は魔力すらも燃やし尽くしてしまうのだ。
考えれば生命から生産されるモノなのだ。黒炎からしてみれば油のようなものなのだろう。
アラタが痛みに呻きながらひたすらに、魔力を練り上げていく。
内側に。ただひたすらに。
そしてその黒炎の熱と一体化するまでに。
ひたすらに練って、練って練ってねって。
練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って練って。
魔力と黒炎を一体化させていく。
次第にアラタの体は黒炎こそを己の魔力だと認識し始めた。黒炎を少しずつ操れるようになってきたのだ。
これはアラタの狂気的な魔力鍛錬の成果もあった。
同時に黒炎の魔力性質も関係していた。
命を焼く炎が、命に取り込まれる。
アラタは、その炎を使いこなすことに躍起になった。
一年かけて炎を完全に自身の体内へと取り込んだ。
二年目はその炎を外部に放出できるようにした。
三年目は外部に吐き出した炎を取り込むことによって、不可能なはずの黒炎の消化すらやってのけた。
四年目で黒炎をより増大させる術を編み出した。
そしてそこからさらに二年かけて。ようやく完成する。
「殲技:煉獄」
黒炎は、今。
完璧にアラタの物となった。
□
黒炎が、解き放たれた。
直後には、天空都市の半分は消し飛んだ。
「一体何が!?」
「よう。来てやったぜ」
「そんな、まさか、あり得ない! 黒炎を支配したというの!?」
「その通りだ。そして、これでお前は終わりだ。あ、霊玉の位置を先に聞かねえとな」
「いいえ、まだよ。まだ終わっていないわ!!」
黒炎を身に纏うアラタの目の前で、シリンは怒りのままに魔力を練り上げる。
「十二魔女! 集いなさい!」
「は!」
「そして生贄と成りなさい!」
「え」
それへの反対意見を述べる間もなく、シリンの手によって他の十一人の魔女たちは死に絶える。そしてその魂はシリンの体内へと内包され――。
「出でよ! 偉大なる邪神 ウルファリア!!」
莫大な魔力が渦巻く。
アラタはそれを気にせず魔力を叩き込んだ。
黒炎の魔力を。
「ギィィィィィぃいああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!??????????????????????????????????????????????????????????????????????????」
「いや、変身中を見逃すわけないだろう」
ソレが冥楼会とアラタとの決着だった。
□
「ガルドさん。ついに手に入りましたよ」
「出かした。その様子だと、黒炎の方も支配下に置いたみたいだな」
「はい」
「なら話は早い」
ガルドは槌を取り出す。
「このまま仕上げちまうぞ」
「はい!」
それから半年後。
遂に。
「完成したぞ。銘は獄門鍵だ」
「獄門鍵?」
「お前さんが持てばこのひと振りは、地獄への扉をこじ開ける刃となる」
「後はこれを閻魔の野郎にぶっ指してやるだけですね」
「ああ。その通りだ。行ってこい。最強の男」
「はい!」
アラタは飛んだ。
誰よりも速く。
そして切った。
地獄の天蓋を。
するとそこには。
「そ、そんな馬鹿な……」
憎き憎き、閻魔がいた。
□
「悪かったと思っているだから――「うるせぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ死ねぇぇぇぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
アラタの一撃。
ソレがこの地獄での日々の決着だった。
そしてついに。
彼が現世へと帰還する時がやってきた。
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