僕らのミッション(12)
山谷アキという女の子は存在しなかった。
その事実がわかったのは翌日のことだ。
彼女のことが気になり、D組にいる小学校の時からの友達に連絡をしてみたのだ。
『は? 山谷アキ? 誰だよ、それ。D組にはいないぞ』
そう言った後で、『あ、……』と彼が思い出したことにヒントを得た。
その翌日からの塾の夏期講習、そこに彼女はいた。
三つ編みに黒縁メガネ、白いワンピースを着て教室の隅に座る水谷ハルのところに、僕ら三人は詰め寄った。
「おはよ、山谷さん?」
眼鏡の奥で彼女の目が泳いでいた。
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