僕らのミッション(9)
「知ってる? この学校の七不思議」
「え?」
「誰もいない音楽室から聞こえてくるピアノでしょ」
「犯人は山谷さんだったけど」
「じゃあ、これは? 理科室の人体解剖模型が夜になると動き出す」
ホラッと理科室の側を通りかかった瞬間、教室の中を持っていた懐中電灯で窓越しに照らす山谷さんに、タケはビビって変な声をあげた。
「止めてよ、山谷さん」
タケの泣き出しそうな顔を見て、山谷さんは声を上げて笑っている。
音楽室のピアノといい、なかなかのイタズラ好きだ。
「あとは、ホラ! メジャーどころでいうとトイレの花子さんでしょ? 階段踊り場にある鏡の中に、自分そっくりな人が現れて、いつの間にか入れ替わっちゃうやつとか、あ、体育館でバスケしてるオバケ!!」
「それさっきレンレンがやったやつ」
「まあ、実際はそんなもんよね。後は玄関にある初代校長の目からビームと、深夜に徘徊する死んだはずの警備員。どれも迷信に、」
ハハッと笑って渡り廊下の向こう東校舎の方角を見ていた山谷さんがピタリと足を止めると。
「懐中電灯消して。皆、かがんで!」
小声で指示をだし、窓の下に張り付くようにしゃがんだ山谷さんに習って、僕らも同じようにしゃがみ込む。
「山谷さん、なに? なんなのよ?」
レンレンの笑顔が、またひきつっている。
「いたのよ、……東校舎に」
「いた?」
「深夜に徘徊する警備員よ、あれ!!」
カラカラに渇いた喉が張り付いてしまったみたいに声が出ない。
まさか、まさか!?
ドキドキしながら、伸びあがって東校舎を見た。
ユラユラと揺れる懐中電灯の明かり、あれは……、あれは!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます