第31話 俺に依頼を選ぶ権利はないよ?

「では説明させて頂きますね。冒険者には『冒険者ランク』と呼ばれるランクがあります。下からE、D、C、B、Aとなり登録したての冒険者はEランクから始まります」

「質問いいですか?」

「あ、はい。どうぞ」

「全体の比率を教えて下さい」

「比率‥‥とは?」

「えーっと例えばこの冒険者ギルドに登録している冒険者が200人いるとします」

「は、はい」

「そしてその200人はそれぞれランクを持ってますよね?なのでその数を調べる事でこの冒険者ギルトの戦力は大体どの程度なのかを把握する事ができます」

「はへぁ~~~~」

「‥‥ユーハイム様横からで申し訳ありませんが‥‥どういった意味が?」

「簡単に言えば市場調査だ」

「「市場調査?」」


ん?なんか説明する人が変わってる気がするんだが‥‥まぁいいや。


「例えばだけどAランクが0人、Bランクが20人、Cランクが50人Dランクが75人、Eランクが65人だとするとこのギルドの主力はC~E級って事になる。

ギルドとしてはそう言った層のサポートを手厚くして依頼の成功率を上げてあげれば冒険者の士気も上がるし、稼げる人が増えて金周りが良くなって街の景気も良くなる。更に成功率が上がれば失敗して高ランク化する事も減って低ランク層だけでも回転率も上がる。そのサイクルが回り出せば‥‥ってね」

「ほわぁぁぁ~素敵ですユーハイム様ぁ」

「ほぇぇぇぇぇ~~」


おぉ~シャルルちゃんからの尊敬のまなざしが凄い。

そしてギルド職員さーん?もう少し頑張った方がいいぞー?


「と言う事で冒険者の比率が知りたかったんですが…その様子だと知らないみたいですね」

「も、申し訳ございません!」

「いえ、謝る必要はないです。それよりも話の腰を折ってしまいすみません。説明の続きをお願いします」

「え?あ、はい!えーっと‥‥」

「新人冒険者はEランクから始まるところまで説明をうけましたよ?」

「あ、ああ!失礼しました。‥‥コホン。ランクは依頼の成功回数が一定以上になるとランクアップし、失敗が重なるとランクが下がります。そしてCランク以上は別途昇進試験があります」


ふむ‥‥まぁ聞いた限りではコレといて不明な所はないな。


「そして依頼に応じて受注可能なランクが決まっていて自身のランクの一つ上のランクまでであれば受注可能です。なのでEランクの方がAランクの依頼を受ける事はできません、逆に自分のランクより低いランクの依頼で有れば制限はありません」


そりゃそうか。

身の丈以上の依頼を選んでも死ぬだけだしな。


『死ぬで思い出しましたが…よく危険な冒険者稼業に許可が出ましたね?』

(不穏なワードで思い出して欲しくはないが‥‥許可はあっさり出たよ?)

『珍しいですねぇ~』

(ただし俺に依頼を選ぶ権利は無いけどね!)

『‥‥は?』

(?知らなかったの?…ログ確認してみ?)


アレは確か昨日だったかな?

お金と身分証明の為に冒険者になろう!と話を振ったところ、

『ハイ。良いですよ?ただし依頼は私が選びますね?』

『いやいや。そんな悪いよ。せめて一緒にえらぼ?』

『ダメですよ~だって護衛依頼なんて受けたらユーハイム様に悪い虫が付くじゃないですか?』

『え?』

『それにお金なら心配はいりませんよ?』

『アテが有るって事?』

『女性や子供を食い物にしているゴミ共を浄化して財産を奪えばいいんですよ?ね?簡単でしょ?』


簡単じゃねーから!と声を大にしていいたかったが‥‥やべぇ事を恍惚とした表情で言うので俺には止められなかった。


もし止めて絶望が~とかだとマジで洒落にならんし。



『うっわぁ‥‥もうねぇ‥‥ヤバいしか出てこないね?あとあそこで穏便に収めたマスターは凄いと思う。ナイスマスター!』


「説明は以上ですが‥‥ご質問は?」


あ、やべ。回想してて話聞いてなかった。



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