9月2日 more than like

 あのひとから爆弾発言が飛んできたのは先送りにしまくった夏休み明けまでの課題のつけで超苦闘中だった秋学期の最初の金曜日のことだった。


 学祭でシフトが被って以降無駄話とお茶をする関係性になっていた私たちだけれど決してお茶飲み友達以上のものではなかったはずだった。HARBSの期間限定のケーキがおいしいって噂だから今度行ってみない?と軽い気持ちで送ったメッセージに既読が付いたのは10日もたってからのことで、そしてそのあとのコメントには世界が変わるような感じがした。


 「返信遅くなってごめん!破局して死んでた!」


 金曜は全休にするんだ~って言ってたから多分今日会うことはなさそうだけれどそれにしたって1限前には重大すぎないか、というのが第一印象で、追ってすぐに心配の気持ちでいっぱいになったので、数時間寝かせてから

 「大丈夫?私でよければお茶でもしながら話聞くからね」

とだけ返しておくことにした。


 そっとしておくのも大事だろうしこうすれば言いたくなった時に来てくれるだろうから案外スマートかつベストな答え方なのではと思っていたら、お昼休みに追加情報欲しさに探りを入れた共通の友人(まだ聞いてなさげだった)から

 「これでやっと正攻法で狙えるようになった、ともいえない?」

と言われたので、そういう考えには至らなかったし恋とかではないよ、と一応言っておきつつももしかしたら気づいてないだけでもっと深いなにかがあるのかも、とふと感じた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る